ローマ・デッサン帳

ローマでの生活、見たことや感じたこと、絵本と美術関係の仕事について綴ります。

2008年 1月11日 蝋で磨く

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ほとんど100パーセントに近い蜜蝋で家具を仕上げるのは
至難のわざである。
まだ慣れていないせいかもしれないが
こすってもこすっても
なかなか表面が均等にならない。
工房の人間が近くを通る度に指で表面を触れて行き、
「まだまだだねえええ、大変だねえ」などどいいながらにやにや笑う。
Encausto polishing is for pieces that really deserve it!!
気温が低いので蝋が更に扱いにくいということがあるのだろう。
インドからセラックが輸入され始めてからは
セラック仕上げが盛んになったのだが
それ以前のイタリアの家具はほとんどこの方法での仕上げがなされていた。
エンカウストはしかしうまく仕上がれば家具に暖かくてやわらかな輝きを与える。
特に「ベッタ」の場合はすでに結果が少し見えてきているのだが
木の表面の静かな豪華さが見事ににじみ出ている。

来週から国際絵本原画展のコンクールの仕事でボローニャに戻る。
2-3年前は雪が降ったのだが今年はどうだろうか。
どんなおもしろい出会いがあるだろうか・・・
毎年「総入れ替え制」の審査団員たちの繰り広げるドラマ!
その渦中で生まれる議論は絵本原画の未来に影響を
与えているのだと思う。
(できあがった展覧会を構成する作品の傾向によってそれは
伝えられている。)
今年からは残念ながらボローニャ児童図書展示会の
グラフィック全般を担当していた "PROF" ランツィ「先生」にはもう会えない。
20年前に初めて出会い、古くからの友人のように接してくれた人だ。