ローマ・デッサン帳

ローマでの生活、見たことや感じたこと、絵本と美術関係の仕事について綴ります。

2007年11月9日   紙技

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ちょっと思い出したので書いておきたいと思った。
駒形さんのワークショップのお手伝いをしている時に
駒形さんが9色を紙をベンチに並べていく。
30枚ぐらいある紙を彼は指でしっかり抑えながら
きゅっきゅっと、ずらしていく。
そうすると紙がとり易くなるのだけれど、
並べた時も本当にきれいなので、驚いてしまった。
(自分もまねしてやってみたけど、なかなかできないのだ。)
紙と言いう素材をやっぱり知り尽くしているのだなあと
つくづく感心してしまった。

The art of handling paper,
magic in the sheets,
wonder in the pages
dream in the words

ムナーリ展のカタログはいよいよ追い込みだ。
ぎりぎりでちょっとおもしろいことが今日分かった。
ムナーリは1936年の第6回トリエンナーレに参加し、
テーマ展「舞台装置術」のイタリア部門で
「ヨシトモ」という戯曲第三幕の舞台装置の模型を展示した。
カントゥ市のムナーリコレクションのサイトには
オペラ「ヨシトモと6つの仮面」と記載してあったので、
それにまどわされてか、この「ヨシトモ」がどうしても
どういう作品なのか、分からなかった。
これが実は郡虎彦の英語で書かれた戯曲、『義朝記』であることが
さっきネット検索で判明した。
1929年、イタリア語版が出版されていて、
そのタイトルは『義朝、三幕による日本の古典悲劇』。
1923年に仏語版が出ているので、その翻訳かもしれない。
(日本語の作品はフランス語訳から翻訳されることが多かったようだ)
「仮面」という言葉は多分、同年出版されたトリエンナーレの機関誌に
掲載されたムナーリの「音楽劇用の仮面」のせいなのかも。
舞台装置模型の写真は今朝、トリエンナーレのトンマーゾさんという
とっても親切な司書の人から送られてきたのだが、
(いや、本当にありがたい!!)
すでにムナーリの日本美術、居住空間 に対する造詣の深さが伺える。
絵巻物もたくさん見ていたのだと思う。

この戯曲が当時ミラノで上演されたのかどうかについてまでは
残念ながら調べられなかった。
トンマーゾさんに言わせると、トリエンナーレでの上演というのは
なかったらしい。

1929年の『義朝記』のイタリア語版の古書を
ボローニャの古本屋さんに注文してみた。
多分ムナーリも読んだ版ではないかと思う。
手にするのが楽しみだ。