ローマ・デッサン帳

ローマでの生活、見たことや感じたこと、絵本と美術関係の仕事について綴ります。

絵本

ボローニャ国際絵本原画展 取材雑記 その2

*その1からの続きです ポーランドのマチエイ・ピリニヤクさんは、 「二人の姉妹」というかわいい名前の出版社の編集者です。 彼はそれぞれの作品を本当に丁寧に見ていて、 メモをたくさんとっていました。 彼の出版社はポーランドで絵本コンクールもやって…

ボローニャ国際絵本原画展 取材雑記 その1

今年のボローニャ国際絵本原画展も非常に興味深い ラインアップとなりました。 こちらのコンクール形式の展覧会は 絵本の世界に携わりたいイラストレーターにとっては登竜門。 毎年世界中から3千人以上のイラストレーターたちが 5枚の作品を応募します。 201…

レオ・レオニを追って その3 フォーチュン誌 1962年12月号 レオの世界市場

シェークスピアは世界が舞台であると言いましたが、 レオはきっと世界は一つの市場である、と言うに違いありません。 レオは「フォーチュン」誌の特派員として1957年から 中近東、インドを旅行。 東南アジア、メキシコ、ヨーロッパにも赴き、 人間の経済…

レオ・レオニを追って その2 PENN FRUIT スーパーのロゴ 1954年頃

レオの1991年、ニューヨークのクーパー・ユニオン大学の 卒業式の演説を訳しているつもりが、またまた横道にそれてしまいました。 昨日は演説の翻訳の他に、ニューヨークでの調査の 写真資料を見るという作業を続けていたのですが、 ニューヨーク歴史協会博…

レオ・レオニを追って その1 フォーチュン誌について少し

レオ・レオニ、本来的にはレオ・リオンニ、は 国語の教科書にも掲載されている『スイミー』の作者。 日本では知っている人がとても多いのですが、 残念ながら、イタリアでは絵本の好きな人でないかぎり、 イタリアに長く在住していた作家であるにもかかわら…

第35回サルメデ国際絵本原画フェスティヴァルImmagine della Fantasia インマージネ・デッラ・ファンタジーアその2

日伊国交樹立150周年を記念した「にほんのえほん」Visually Speaking展は、ローマ日本大使館、JBBYによる50冊あまりの日本の絵本の展覧会です。日本語が読めなくても、本をめくることによってお話が「読める」というアイディアをベースにセレクトされた、過…

第35回サルメデ国際絵本原画フェスティヴァルImmagine della Fantasia インマージネ・デッラ・ファンタジーアその1

サルメデはヴェネツィアから60キロ離れたかわいらしい、おとぎ話に出てくるような美しい丘陵地帯に囲まれた小さな街です。サルメデに魅了されたステファン・ザブレルという、チェコ共和国出身の絵本作家の始めた子どものための絵本をテーマとしたこのフェ…

ボローニャ国際絵本原画展 2016年

ボローニャ国際絵本原画展の50周年を記念する、 2016年ボローニャ展に入選したみなさま、おめでごうとざいます! また、今回は落ちてしまったけれども、がんばって応募にこぎつけた方たちも おめでとうございます!! 今年の審査員は、ブックフェア2…

ミケーレ・マリの作品に見るイエラ・マリの姿

絵本作家のイエラ・マリは、2010年のボローニャブックフェア期間中の 展覧会にて、初めてその原画が紹介され、 イタリアでは改めて「再発見」された作家であると言えます。 その文字のない絵本、生命の循環を描いた絵本は 何度「読み」なおしても見飽き…

ボローニャブックフェア2013年報告その1 Japanese Talents-Powered by Bolognafiere

昨年、降矢奈々さん主催の『手から手へ』展の会場となった ボローニャ市立中世美術館では今年、 ボローニャブックフェア50周年特別展ということで ボローニャ市、ブックフェア、JBBY、国際交流基金の協力を得て 『ジャパニーズ・タレンツ』展 Japanese Tal…

今年のボローニャあれこれその2 よっちことのだよしこさん展覧会とワークショップ!

ボローニャのブックフェア期間中には 街の中でさまざまな展覧会や個展が開かれます。 降矢さんたちの車がブラティスラヴァから到着するのを待っている間に よっちさんことのだよしこさんの展覧会準備の作業を のぞきにいきました。 よっちさんはボローニャ郊…

今年のボローニャあれこれその1中世美術館『手から手へ』展

2012年ボローニャ・チルドレンズ・ブックフェア関連イベントとして 受け入れてもらうことに成功した 『手から手へ』展、なかなか評判でした。 会場はなんと、上の写真にも見られるボローニャ市立中世美術館の石碑館!! すばらしい環境でした。 この企画…

2012年ボローニャ国際絵本原画展審査終了!

ボローニャブックフェアのほうでようやく今年の入選者のリストが 掲載されました。 今年はかなり厳しい審査でした。 入選者のみなさま、心からおめでとうございます。 http://www.bolognachildrensbookfair.com/mostraillustratori/selezionati 以下はローマ…

Laboratorio tattile di Katsumi Komagata con i ragazzi del Pratello, marzo 2011

Dopo terminata la Fiera del Libro per Ragazzi di Bologna siamo tornati al carcere minorile di via Pratello per fare l'assistenza al laboratorio anuale dell'artista giapponese, Katsumi Komagata. Komagata-san e' spesso riferito come il "Brun…

ボローニャ少年院 駒形克己氏タクタイル・ワークショップ

ボローニャブックフェア後、再び少年院を訪れ、 アシスタント兼通訳として駒形克己さんのワークショップのお手伝いをした。 今回の少年たちは4人、チュニジア、モロッコ出身のモデナの少年、 そしてガオ君という中国人の少年。 少年院新館のほうの工事がよ…

ボローニャ児童図書ブックフェア2011年 その3 本と未来

こちらは歌手のルチオ・ダッラの住むカヴール広場の庭園での展覧会。 ボローニャの美術学校の学生たちと先生たちによるインスタレーションです。 ペットボトルによる花々。 おそらく曲芸師によるショーも行われ、 そのあと花は観客に配られたのでしょう。 夕…

ボローニャ児童図書ブックフェア2011年 二人展 Distant Friends

ボローニャブックフェア会期中に開かれる展覧会のうち、 若いイラストレータたちに一番人気のある展覧会のオープニングは 毎年ハーメリン文化協会本部で開かれる個展だ。 最近ではOrecchio Acerbo, Topipittori, OQO などで 出版している若手作家が中心だ。 …

ボローニャ児童図書ブックフェア2011年 ささやかな報告1 I BELIEVE IN BOOK POWER

今年は目が覚まされたような、なつかしいボローニャを目指してのあわただしい出発。 3月末の土曜日のボローニャ。 中世期から建つボローニャ商工会議所の建物のバルコニーには イタリア統一150周年記念の長い国旗がまだ飾られていた。 相棒たちとさっそ…

イエラ・マリのエンドレス絵本 Le storie infinite di Iela Mari

日本でもほるぷ出版から絵本が出てるイエラ・マリの原画展「虫めがねで見た世界」、 ボローニャに続きローマでもボルゲーゼ公園内の児童館にて、1月30日までやっていました。 この展覧会はボローニャをベースに、イラストレーション、漫画らに関する 展覧…

2011年ボローニャ国際絵本原画展審査終了! Congratulations, Selected Artists!

ボローニャの守護聖人に捧げられた教会、聖ペトロニオなつかしい聖歌隊の先生、亡くなってしまいました。ファサード修復中。今見えるのはファサードの写真を実物大に印刷した保護幕です。 今年の審査員の方々もすばらしい人たちでした。 http://www.bookfair…

2010年 9月 図書館は未来を救う?!

イタリアの新聞はわたしという読者に向かって 記事を書いているという感じがどうしてもしないので、 最近ではInternazionaleという、各国の興味深い記事を集め、 イタリア語に翻訳した雑誌だけを斜め読みしている。 その中で目についたのがスペインの『エル…

2010年 5月 ボローニャ国際絵本原画展、ローマ版!  Bologna in Rome

2010年5月23日まで、ボローニャの国際絵本原画展の抜粋版が ローマの3つの会場にて開催。 パラエキシポのワークショップの空間では ブラティスラヴァ世界絵本原画展でグランプリをとった スペインのタシエスの作品とイタリア人入選者の作品、 ローマ…

2010年 3月 ボローニャ児童図書展示会、感想文 Bologna Children's Book Fair 2010

今年のボローニャ・ブックフェアは熱を出した直後に乗り込むこととなり、 頭の中がぼおおっとしたまま過ごしてしまったような気もします。 一日目はブラティスラヴァ世界絵本原画展のグランプリ賞を受賞した タシエスさんにインタビュー。 もともとジャーナ…

2010年 1月 ボローニャ国際絵本原画展審査完了!

今回の審査は例年以上におもしろい展開となった。 審査員の方たちは全員、この展覧会が児童図書の見本市の中で どのように位置づけられているのか、よく理解しているすばらしい人たちであった。 (審査はすいすいと進んでしまい、撮影する側としては かなり…

2009年 偉大なるロベルト・インノチェンティ Il grande Roberto Innocenti

*写真は『白ばらはどこに』より。 白ばらの赤いリボンとナチの赤い腕章との間のコントラストが 恐ろしいです。 白ばらはその殉教の朝にはりぼんをしていません。 真っ白な服をまとっています。 *ロベルトのイラストレーションで面白いなと思うのは 「視点」…

2009年 4月 未来派と子どもたち Futuristic Children's Corner?

photos: 1)Freak Ando' Gallery in Bologna: tons of toys! 2)The Freccia Rossa, from Bologna to Milan in only 65 minutes 3)The Duomo in Milan, never have seen it so white 4)Entrance to the Futurist exhibition at Palazzo Reale 5)Who will wear …

2008年 4月 今年のボローニャ Back to Bologna

Photos: 4 photos from the workshops at the Sala Borsa Children's Library in Bologna The Fair: ボローニャの児童図書のブックフェアは今年も不景気にかかわらず、 昨年よりもヴィジターが多く、 またフェア面積も結局昨年よりも少し減少した程度だった…

2009年1月23日 ロヴェレート、ボローニャ。未来派展第一弾、国際絵本原画展審査のことなど。

*写真はロヴェレート市内のデペーロ電車。 電車のかっこうをしてますが本当は車。 未来派展のオープニングに合わせて長い間改装中だった デペーロのCasa d’Arte Futurista(未来派芸術の家)もオープン。 街全体が未来派デペーロ・モードに入っていた。 未…

イタリア児童文学史ーイメージの領分-2 『ピノッキオ』の挿絵画家たち

2)19世紀末の代表作:『ピノッキオ』、『クオレ』、サルガリの冒険小説とその挿し絵画家たち 2-1) 『ピノッキオ』の挿絵画家たち 『ピノッキオの冒険ーある操り人形の物語』という作品はデ・アミーチスの『クオレ』と並んでイタリアの児童文学を代表する作…

イタリア児童文学史ーイメージの領分ー概観の試み その1

0)児童文学の誕生 イタリアにおける児童文学は1837年、パラヴィチーニLuigi Alessandro Parravicini の『ジャンネット』Giannettoという、ある少年の産業社会における立身出世を語った教科書の中で定義された。子どものための本とは、社会的、道徳的モ…