ローマ・デッサン帳

ローマでの生活、見たことや感じたこと、絵本と美術関係の仕事について綴ります。

2008年 1月24日 ローマ市立カピトリーノ美物館モンテマルティーニ発電所分館

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クリスマス休みに三人で今までにまだ行ったことのない
美術館に行ってみよう、ということで、
聖パオロに向かう途中のテヴェレ川沿いにある元発電所の中に開館した
ローマ市立美術館の分館に行ってみることにした。
発電所は1900年初頭にできたもので、最初は蒸気エンジン、
1933年以降は巨大なディーゼルエンジンによる発電が行われていた。
古代ローマの貴族たちの庭園跡などから発掘された彫刻群が
巨大な機械のそびえる空間の中に配置され、
人間の創造力のとてつもない威力を感じさせる空間となっている。
巨人にしか使えないのではないかと思えるほど大きなレンチなど、
メンテに使われていたいろいろな道具も展示されている。
息子はカルヴィでいのししを近くで見た記憶が新しく、
いのししの実物大の彫刻、狩りのシーンを描いたモザイクが特に
おもしろかったらしい。
アルジェンティーナ広場から発掘された、高さ8メートルもあったらしい
女神像の頭像、腕、足のもすごい。
手のひらの中におさまっているような息子の写真を撮ろうとしたら
もっと離れて撮りなさい、とやっぱり怒られてしまった。

元発電所の前には元青果市場があり、この空間もそのうち
クールハースのプロジェクトにより、
巨大な「若者文化」センターに改造されるとのことだ。
現段階ではまだ発掘調査が行われている。
ローマの場合には地下鉄にしろ、何か新しいものを作る場合には
まず必ず遺跡発掘調査が行われるので完成までには何年もかかる。
ローマではとにかく気の長――い人間に自分を変えないと
生き延びていくことはできない。
どちらかというと気の短い日本人と
波長が合わなくなっていくのは仕方のないことかもしれない。