ローマ・デッサン帳

ローマでの生活、見たことや感じたこと、絵本と美術関係の仕事について綴ります。

2008年3月1日 パルマへ行こう!

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木曜はみなでヨーロッパでも最大規模のアンティックの展示会、
パルマの「メルカンテ・イン・フィエーラ」に乗り込んだ。
まだ一般に公開される前なので、身分的にはディーラーとしての見学だ。
2年前から大型バスで行くことになったのだが
これは家具購入後、直接ローマの工房に持って帰るのに便利だからだ。
パルマと言えばパルメザン・チーズ、生ハム、ヴェルディ、
スタンダールの『パルムの僧院』。
ヴェローナのピンク色の大理石のファサードが美しい
ロマネスクのドゥオーモ、12ヶ月を表す彩色彫刻の美しい洗礼堂。
川沿いの巨大なピロッタ宮殿内のバロック期の木造の劇場・・・
見本市会場はパルマ郊外。まわりは農地だ。
アンティックの展示会は5つのパヴィリオンにわたり、
一日では見切れないぐらいの巨大さだ。
我々はいつものように第5パヴィリオンから見学を開始。
(第1パヴィリオンは20世紀がテーマで雑貨類も多い。)
今回の主役は二つ合わせて80,000ユーロの
18世紀、ルイ15世時代のcommode(箪笥)であろう。
そして一番の御買い得品は・・・
趣味で修復を習っている工房の生徒さんたちが3人で購入した
ルネッサンス期スペインか南イタリア産の
クルミのカッソーネ(ベンチにもなる大きな箱形の家具)。
カッソーネは結婚する時にお嫁さんが必ず持参した家具の一つだ。
蓋を開きっぱなしにもしておけるように、
珍しく蓋の裏側にも彫刻が施されていて、内部には引き出しもついていた。
値段は5,500ユーロ、結局3,500ユーロで交渉成立。
こういった独特な家具の値段は変動の幅が非常に大きい。
全く売れないかもしれないし、10,000ユーロで売れる可能性も秘めている。
以前は2000ユーロ台でも購入することのできた
19世紀フランス、ナポレオン3世時代の家具の値段が上がっていた。
全体的に値上がりがしていたにもかかわらず、
まだ一度も修復を受けていない、地方の中流階級(19世紀)の家具は
相変わらず何点か見かけられ、値段はまずまずといったところか。
とってもいい具合に古くなっている17世紀のカッソーネ、1,200ユーロ。
金箔のほどこされた透かし彫りの燭台一組1,500ユーロ、など。
(マンドヴァの個人の邸宅にあったものらしい。)
是非購入したかったルイ16世様式の箪笥は4,500ユーロ。
「ベッタ」さんが売れていれば、きっと購入していたであろう。
たて琴の形を想起させる木彫付きのシャルル10世時代の箪笥、8、000ユーロ。
引き出しの状態もよく、木は楓が使用されていた。
それにしても自分は内部に隠し扉やからくりのある
卓上箪笥が好きなのだと今回も自覚した。
同時代の建造物のファサードや教会の祭壇を思わせるデザイン。
18世紀ドイツのものを一つ持っているのだが、
(2年前、この展示会で購入。ディーラーはミラノの
運河沿いにある武具専門店。)
いつかコレクションの幅を広げていきたいなとも思う。

ところで、完成した「ベッタ」さんは今工房の展示室に飾られている。
経済的にはしかしあまりよい時期とは言えないので、
なかなか売れないかもしえない・・・