ローマ・デッサン帳

ローマでの生活、見たことや感じたこと、絵本と美術関係の仕事について綴ります。

2009年 9月 Ars Electronica in Linz

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今年は南チロルで過ごす山でのヴァカンスを少し延長して
ザルツブルグとリンツのエレクトロニック・アートのフェスティヴァル、
Ars Electronicaを観に行った。
期待通り、すばらしい展示であった。
電子アート作品は長期の展示だと途中で壊れたりして、
とくにイタリアのようにメンテの下手な国だと
半分ぐらい故障中だったりすることが多いが
インタアクティヴな作品の多い
アルス・エレクトロニカ・センターの展示会場には
監視員の他に各コーナーに二人以上のインストラクターがおり、
会場のそこここで、作品のメンテをしている係員が見かけられた。
日本からの作品も多く、明和電気のNovmichiさんご本人のパフォーマンスも
見る事ができ、とっても嬉しかった。
(Otama-tone、とてもかわいい楽器です。日本でそろそろ発売ですね。)
息子とその友人のミキはヴィデオ綱引きなど、
お気に入りのインタアクティヴな作品で遊ぶのに夢中になっていた。
いっしょに会話を楽しめるゲムノイドのモデルとなっている博士ご本人に
夕刻、ドナウにかかる橋を渡っている時にすれ違い、
息子たちはびっくり。

ドナウ川対岸のレントス現代美術館では
Sight and Soundという、音とアートの融合した作品の通史展が開催されていた。
そこで改めて未来派の凄さを認識。
未来派はマニフェストという形で発表されたコンセプトから
発する運動でありとくに音楽に関しては
提唱された理論についていけなかったところがあるが、
(残念ながらルッソロの騒音音楽の関してはルッソロの制作した
楽器も残っていないし、録音もないようなので評価できない)
わたしたちの身の回りの音も音楽的要素となりえるのだと言った人たちだった。
Trash Music とか、新しい楽器を身の回りのもので作ってしまう
明和電気は未来派の延長線上にあるのだなあという流れが感じられた。
(もっとも、レントスの展示自体の中では未来派にはふれていない。
カタログを参照する必要あり。)
Sight and Sound 展では日本のGutaiが紹介されていたが
(ヴェネツィアのビエンナーレ展でも今年紹介されていた)
田中敦子など、日本の女性アーティストの活躍に焦点が当てられていた。
Yoko Onoの作品にもびっくり。
発見の多いすばらしい夏休みであった。