オラトリオ会、ヴァッリチェッリアーナ図書館、アームチェアの修復
オラトリオ会のヴァッリチェッリアーナ図書館にある12脚のアームチェア、
立派な後期ルネッサンス様式です。
昔通っていた修復学校の研修の一環として他10人の女性とともに修復する事になりました。
何年か前に、オラトリオ会の食堂の、ボロミーニの設計したベンチと背もたれを
修復学校の工房とともに修復しました。
http://blogs.yahoo.co.jp/iammee1999/2306007.html
http://blogs.yahoo.co.jp/iammee1999/2727515.html
http://blogs.yahoo.co.jp/iammee1999/3491309.html
http://blogs.yahoo.co.jp/iammee1999/6028202.html
そして3年前には、同じオラトリオ会の建物のなかにある
中世史図書館の本棚を修復。
http://blogs.yahoo.co.jp/iammee1999/35624904.html
背もたれを飾る「焔」fiammeにはバロックの気配が感じられるため、
17世紀の初頭にトスカーナ地方にて生産されたものと推定されます。
17世紀の早い時期なので、アームの部分はまっすぐです。
ライオンの足も立派な木彫り。
旋盤による木彫も見応えがあります。
ヴァッリチェッリアーナに通っていた今は亡き恩師も座って
文献を参照したかもしれないものです。よってちょっと感傷的にもなります。
椅子のあらゆる部分に、ノミの跡が。
木材はウォールナット。
前回の修復がいつのものかは文献を調べてみないと分からないのですが、
この時代とは少しはずれた濃い茶色のペンキが全体に塗られていました。
ペンキはアルコール94度とコットン、鋼綿で除去。
12脚の椅子はまだちゃんとすわれれる状態にありましたが
接合部分がかなり弱っています。
木の破損を促す釘を全部除去し、
横から、または下から丸棒を入れて行きます。
この時代の家具には膠のりが使われず、
接合部分をとめるのに丸棒が打ち込まれている場合が多いのです。
(灰と石膏を混ぜた物が使用されている場合もあります。)
上の写真にも、打ち込まれた丸い木釘が見られます。
すごい釘を打ち込んだものです。
これでは木のひび割れがどんどんひどくなります。
今回の修復は釘抜きが中心!!
下から新たに差し込まれた丸棒。
前に突き出たライオンの足、横から見た写真です。
ノミの跡が見られます。
ペンキを除去し、鋼綿でマッサージした古い木が
どんどんなめらかになっていきます。
仕上げには蜜蝋にターペンタインを混ぜた物を使用。
椅子の座る部分の修復は1925年頃のものでした。
詰め物の中からローマの新聞の破片がたくさん出てきました。
修復学校の工房に出向いてくれた
椅子張り職人のフェルナンドさんが、「こりゃひどい」と声を上げます。
どうやら修復にあまりお金がかかっていないようです。
椅子のすわる部分の皮にはおそらく17世紀の手製の釘がそのまま残っていました。
20世紀初頭の皮はかなり破損していますが、
ラッカーを塗り込む事により、補強が可能です。
修復のほぼ完成したアームチェアのうちの一つに、
椅子張り職人歴40年のフェルナンドさんのすばらしい手つきが皮をなでます。
立派な後期ルネッサンス様式です。
昔通っていた修復学校の研修の一環として他10人の女性とともに修復する事になりました。
何年か前に、オラトリオ会の食堂の、ボロミーニの設計したベンチと背もたれを
修復学校の工房とともに修復しました。
http://blogs.yahoo.co.jp/iammee1999/2306007.html
http://blogs.yahoo.co.jp/iammee1999/2727515.html
http://blogs.yahoo.co.jp/iammee1999/3491309.html
http://blogs.yahoo.co.jp/iammee1999/6028202.html
そして3年前には、同じオラトリオ会の建物のなかにある
中世史図書館の本棚を修復。
http://blogs.yahoo.co.jp/iammee1999/35624904.html
背もたれを飾る「焔」fiammeにはバロックの気配が感じられるため、
17世紀の初頭にトスカーナ地方にて生産されたものと推定されます。
17世紀の早い時期なので、アームの部分はまっすぐです。
ライオンの足も立派な木彫り。
旋盤による木彫も見応えがあります。
ヴァッリチェッリアーナに通っていた今は亡き恩師も座って
文献を参照したかもしれないものです。よってちょっと感傷的にもなります。
椅子のあらゆる部分に、ノミの跡が。
木材はウォールナット。
前回の修復がいつのものかは文献を調べてみないと分からないのですが、
この時代とは少しはずれた濃い茶色のペンキが全体に塗られていました。
ペンキはアルコール94度とコットン、鋼綿で除去。
12脚の椅子はまだちゃんとすわれれる状態にありましたが
接合部分がかなり弱っています。
木の破損を促す釘を全部除去し、
横から、または下から丸棒を入れて行きます。
この時代の家具には膠のりが使われず、
接合部分をとめるのに丸棒が打ち込まれている場合が多いのです。
(灰と石膏を混ぜた物が使用されている場合もあります。)
上の写真にも、打ち込まれた丸い木釘が見られます。
すごい釘を打ち込んだものです。
これでは木のひび割れがどんどんひどくなります。
今回の修復は釘抜きが中心!!
下から新たに差し込まれた丸棒。
前に突き出たライオンの足、横から見た写真です。
ノミの跡が見られます。
ペンキを除去し、鋼綿でマッサージした古い木が
どんどんなめらかになっていきます。
仕上げには蜜蝋にターペンタインを混ぜた物を使用。
椅子の座る部分の修復は1925年頃のものでした。
詰め物の中からローマの新聞の破片がたくさん出てきました。
修復学校の工房に出向いてくれた
椅子張り職人のフェルナンドさんが、「こりゃひどい」と声を上げます。
どうやら修復にあまりお金がかかっていないようです。
椅子のすわる部分の皮にはおそらく17世紀の手製の釘がそのまま残っていました。
20世紀初頭の皮はかなり破損していますが、
ラッカーを塗り込む事により、補強が可能です。
修復のほぼ完成したアームチェアのうちの一つに、
椅子張り職人歴40年のフェルナンドさんのすばらしい手つきが皮をなでます。