イタリア人と政治
昨日5月29日月曜日は盛りだくさんの一日でした。
交通ストがあり、仕事に行けなかったのは困りものでしたが、
自宅で翻訳の作業を進めたり、
やっとこさできあがった今年のボローニャ児童図書ブックフェア
ドキュメンタリーの映像を日本の制作会社に発送したり、
家の中の整理などでばたばたと午前中を過ごしたのち、
徒歩で中心街はパンテオンの裏の元老院本部に行き、
社会心理学の先生をしている友人の監修した新しい本のプレゼンテーションに出席。
コンファレンス中には5つの県で県議会選、84の市での、
市議会選、第2次決戦投票の結果がぞくぞくと入ってくるので、
みなさんの携帯の着信音がけっこう聞こえていました。
84の市のうち、81の市では市長選も。
これらの市のうち、Novara, Milano, Varese, Rovigo, Rimini,
Grosseto, Napoli, Cosenza、Crotoneは県庁所在地でもあります。
発表者は全員が明らかに左派系の方たちだったので、
(もちろん右派PDLの政治家も招かれていたのですが、
突然出席できなくなったそうです。)
どんどん会場がわさわさと、明るい雰囲気になっていくのが分かりました。
紹介された新刊は、『政治の心理学』という、
ちょっと難しそうなタイトルなのですが、
寄稿者は専門家だけではなく、
政治、心理学、社会学に興味を持った一般の人にも分かりやすいように書こうと
かなり努力したということです。
表紙の写真です。
もう少し明るい感じのほうがよかったのかもしれません。
デザインがちょっと研究書チックすぎるかな。
我々が一体どうして特定の人物に投票するのか、
その心理的、社会的な動議を分析したもので、
結果的にはイタリアでは右派が特に一般の有権者にアピールし、彼らに向かって
そのコミュニケーション・スキルをフルに生かして来たのに対し、
左派はそのイデオロギーの奴隷となり、
提唱する「改革」をどのように分かりやすく、一般の人に納得してもらえるのか、
コミュニケーションのストラテジーを開発する努力をしていない、
という批判がされています。
右派は政治を「人格化」し、非常に分かりやすくハート、感情にアピール。
人間はもともと怠け者なので、たとえば左派の書き並べる改革案の項目を
しっかり読んだり内容を調べたりということはほとんどせず、
「なんとなく」こっちの「人」のほうがいいかなあ、と感覚で投票する傾向がある。などなど。
「内容」よりも「その人となり」。
しかも人間はもともと保守的であるゆえ、ものごとが変わってしまうことを恐れます。
イタリア人はもともと右派、左派、そのコアの投票者は決まっていて、
問題は「どっちつかず」の迷える有権者たちをいかに虜にするかが決め手。
これからはインタネットを通じてそうした人たちにもアピールしていく必要あり。
この研究書は視聴率が全然とれなくて困っている(もうそれはとても落ち込んでいる)
イタリアのドラマの脚本家たちにとっても役に立ちそうな本です。
まだ購入していないのですが、また読書後の感想などを書いてみたいと思います。
さて、昨日の結果です。
全国平均:
有権者のうち、市議会選には60.12% が投票。
県議改選には45,22% が投票。
投票者のなかでは女性の方が圧倒的多数。
市議会議席数全国平均:
左派 22議席
右派 8議席
特に「実験台」としてみなされるミラノで左派が勝利したということで、
かなり話題となっています。
ナポリでは左派が圧勝。
ゴミ問題でついにナポリ人は切れたのでしょう。やれやれ。
ミラノの例です。
レプブリカ紙から失敬。
http://www.repubblica.it/static/speciale/2011/elezioni/comunali/milano.html#risultati
左から候補者名、投票者数、パーセンテージ、政党名、議席数。
付記。
コンファレンスの後は友人宅に招かれ、
みなで食事を楽しみながらガド・レルナー司会の
LA SETTEのトーク番組を視聴。
左派右派のいろいろな政治家や学者が登場、
コメントをしたり、怒ったり笑ったりするみなさまを観察して
これはサッカー試合の観戦のときと少し似ているなと思いました。
以前、イタリアの俳優たちのテクニックについて書いたことがありますが、
イタリア人は一人一人が自分のアイデンティティーというものをかなりはっきりと
意識していることとそれは関係があるかもしれないと昨夜思いました。
それは日本人が血液型に頼るのと同じなのかもしれません。
イタリア演劇コンメディアデラルテの典型的人物の「仮面」。
現代イタリア人の種々の「典型的人物」の仮面、つまりprofileの特徴を特定するのは
1)応援しているサッカーチーム(あるいはまったく興味ないか)
2)左派か右派か、その他
3)教会に通っているか、通っていないか(pro-abortion? anti-abortion?)
4)肉食か草食か
5)教会結婚?市役所結婚?
などなど。
投票しにいく、サッカーの応援をする、というのはだから
自分というものを確定する,カテゴリー化していくということに等しい。
だからイタリアでは投票率が高いのかも??
だんだん何を書いているのか分からなくなってきました。
また整理していきたいと思います。
交通ストがあり、仕事に行けなかったのは困りものでしたが、
自宅で翻訳の作業を進めたり、
やっとこさできあがった今年のボローニャ児童図書ブックフェア
ドキュメンタリーの映像を日本の制作会社に発送したり、
家の中の整理などでばたばたと午前中を過ごしたのち、
徒歩で中心街はパンテオンの裏の元老院本部に行き、
社会心理学の先生をしている友人の監修した新しい本のプレゼンテーションに出席。
コンファレンス中には5つの県で県議会選、84の市での、
市議会選、第2次決戦投票の結果がぞくぞくと入ってくるので、
みなさんの携帯の着信音がけっこう聞こえていました。
84の市のうち、81の市では市長選も。
これらの市のうち、Novara, Milano, Varese, Rovigo, Rimini,
Grosseto, Napoli, Cosenza、Crotoneは県庁所在地でもあります。
発表者は全員が明らかに左派系の方たちだったので、
(もちろん右派PDLの政治家も招かれていたのですが、
突然出席できなくなったそうです。)
どんどん会場がわさわさと、明るい雰囲気になっていくのが分かりました。
紹介された新刊は、『政治の心理学』という、
ちょっと難しそうなタイトルなのですが、
寄稿者は専門家だけではなく、
政治、心理学、社会学に興味を持った一般の人にも分かりやすいように書こうと
かなり努力したということです。
|
もう少し明るい感じのほうがよかったのかもしれません。
デザインがちょっと研究書チックすぎるかな。
我々が一体どうして特定の人物に投票するのか、
その心理的、社会的な動議を分析したもので、
結果的にはイタリアでは右派が特に一般の有権者にアピールし、彼らに向かって
そのコミュニケーション・スキルをフルに生かして来たのに対し、
左派はそのイデオロギーの奴隷となり、
提唱する「改革」をどのように分かりやすく、一般の人に納得してもらえるのか、
コミュニケーションのストラテジーを開発する努力をしていない、
という批判がされています。
右派は政治を「人格化」し、非常に分かりやすくハート、感情にアピール。
人間はもともと怠け者なので、たとえば左派の書き並べる改革案の項目を
しっかり読んだり内容を調べたりということはほとんどせず、
「なんとなく」こっちの「人」のほうがいいかなあ、と感覚で投票する傾向がある。などなど。
「内容」よりも「その人となり」。
しかも人間はもともと保守的であるゆえ、ものごとが変わってしまうことを恐れます。
イタリア人はもともと右派、左派、そのコアの投票者は決まっていて、
問題は「どっちつかず」の迷える有権者たちをいかに虜にするかが決め手。
これからはインタネットを通じてそうした人たちにもアピールしていく必要あり。
この研究書は視聴率が全然とれなくて困っている(もうそれはとても落ち込んでいる)
イタリアのドラマの脚本家たちにとっても役に立ちそうな本です。
まだ購入していないのですが、また読書後の感想などを書いてみたいと思います。
さて、昨日の結果です。
全国平均:
有権者のうち、市議会選には60.12% が投票。
県議改選には45,22% が投票。
投票者のなかでは女性の方が圧倒的多数。
市議会議席数全国平均:
左派 22議席
右派 8議席
特に「実験台」としてみなされるミラノで左派が勝利したということで、
かなり話題となっています。
ナポリでは左派が圧勝。
ゴミ問題でついにナポリ人は切れたのでしょう。やれやれ。
ミラノの例です。
レプブリカ紙から失敬。
http://www.repubblica.it/static/speciale/2011/elezioni/comunali/milano.html#risultati
左から候補者名、投票者数、パーセンテージ、政党名、議席数。
付記。
コンファレンスの後は友人宅に招かれ、
みなで食事を楽しみながらガド・レルナー司会の
LA SETTEのトーク番組を視聴。
左派右派のいろいろな政治家や学者が登場、
コメントをしたり、怒ったり笑ったりするみなさまを観察して
これはサッカー試合の観戦のときと少し似ているなと思いました。
以前、イタリアの俳優たちのテクニックについて書いたことがありますが、
イタリア人は一人一人が自分のアイデンティティーというものをかなりはっきりと
意識していることとそれは関係があるかもしれないと昨夜思いました。
それは日本人が血液型に頼るのと同じなのかもしれません。
イタリア演劇コンメディアデラルテの典型的人物の「仮面」。
現代イタリア人の種々の「典型的人物」の仮面、つまりprofileの特徴を特定するのは
1)応援しているサッカーチーム(あるいはまったく興味ないか)
2)左派か右派か、その他
3)教会に通っているか、通っていないか(pro-abortion? anti-abortion?)
4)肉食か草食か
5)教会結婚?市役所結婚?
などなど。
投票しにいく、サッカーの応援をする、というのはだから
自分というものを確定する,カテゴリー化していくということに等しい。
だからイタリアでは投票率が高いのかも??
だんだん何を書いているのか分からなくなってきました。
また整理していきたいと思います。