ローマ・デッサン帳

ローマでの生活、見たことや感じたこと、絵本と美術関係の仕事について綴ります。

ローマ、マミアーニ国立高等学校理科系コースを卒業しました

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ローマ、プラーティ地区の国立マミアーニ高等学校
1885年創立
テレンツィオ・マミアーニはイタリア復興運動に参加した哲学者、政治家
小規模だが大変興味深い物理自然科学博物館もある


イタリアには卒業式も入学式もないので、
なんとなく、始まりも終わりもうやむやな感じがしますが、
高等学校を卒業するための国家試験は、4種類もの試験があり、
かなり大変でした。
6月に始まった試験は7月の半ばまで続きました・

まずは小論から。
文学作品、小論文または新聞記事、歴史的な内容の文章、時事問題という4種類の文章を与えられ、その中から一つ選んで、小論文を書く、という課題。
息子は政治とマスコミュニケーションに関する文章を選び、それについて書きました。

その次は専門科目の試験。
理科系は今年は数学、古典高校では古典ギリシャ語の試験でした。
息子としては物理の方がよかったに違いありません。
古典高校でも、どちらかというと、ラテン語のほうがよかったという学生も多かったことでしょう。
6時間かけて問題を解くことができます。
数学は最初に一つの大きな問題、あとは5つの小規模な問題。

3つ目の試験は、4科目の短い筆記試験。2時間。
どの科目になるかは、学校やクラスによって違うもの。
この試験は来年からはなくなるとのこと!
息子のクラスは科学(地学!)、英語、美術史と哲学の問題だったそうです。
どの科目も息子にとっては大丈夫な科目ばかりでラッキーでした!!

4つ目の試験は口頭試問でした。
この試験のために、小論文の準備し、それについて発表をまずします。
論文はいくつかの分野を合わせたテーマであることが条件です。
たとえば人間と音楽の関係、あるいは息子の選んだ詩人バイロンの娘、Ada Lovelaceのように
プログラミングの歴史、文学史、女性史について語れるようなテーマ。
そのあと、全科目について、10人の教師(ほとんどが他の高校から派遣される先生たち)の
質問(尋問!)を受けます。
こちらの質問はカリキュラムの中にあるものの中から出てくるのですが、
いじわるな先生は、それとははずれた質問をする場合もあります。
息子はラテン語の先生に、一年生の時にやったオヴィディウスについて
聞かれたそうなのですが、よく覚えていたことだったので
しっかり答えることができ、先生が感心したとのこと。

国家試験は100点満点。
25点まではとれた単位数、第一試験から第3次試験までが15点ずつで35点満点、
オーラルの最終試験が30点満点。

息子の通っていたマミアーニ高等学校理科系コースは昨年の統計では
全国一位の学校だったので、
外部の先生たちがかなり厳しく審査をしたとのこと。
100点満点を獲得した学生は例年とても少ないのだそうです。

南部に行けばいくほど、カンニングを許されたり、
先生が答えのヒントを出して点数をあげようとする傾向があり、
あまり勉強しなくても90点以上とる人が北部に比べて非常に多いらしいのです。
そういう中でカンニングをしないで
実力で望む学生ももちろんいるのでしょうが、
何とも悲しい実状です。

息子はまったくカンニングをせずに、実力で90点を取得。
クラスにはとても優秀が人が3人いて彼らは100点満点をゲット!
仲良しのフィリッポさんは96点。
息子はクラスで点数的には3番目、ということになります。
4年目はアメリカの高校で過ごし、そこでは数学のレヴェルが
あまり高くなかったので、少し数学が遅れ気味でした。
口頭試験で満点をとれたのは、女性の数学者を選んだ、という
ことも多少関係していたらしいです。
試験官は10人中、9人が女性の教員でした。