ローマ・デッサン帳

ローマでの生活、見たことや感じたこと、絵本と美術関係の仕事について綴ります。

レオ・レオニを追って その3 フォーチュン誌 1962年12月号 レオの世界市場

シェークスピアは世界が舞台であると言いましたが、
レオはきっと世界は一つの市場である、と言うに違いありません。
レオは「フォーチュン」誌の特派員として1957年から
中近東、インドを旅行。
東南アジア、メキシコ、ヨーロッパにも赴き、
人間の経済活動のベースにある市場を多く撮影しました。
レオはまた、ジェノヴァ大学の経済学を卒業しているので
経済に関しては専門家でした。
ある意味で、アメリカの経済雑誌、「フォーチュン」の
アートディレクターとしては全くの適任だったと言えましょう。

ニューヨーク市歴史協会図書館に所蔵されている
Time Inc社のアーカイヴの中の、
レオ・レオニに関するフォルダーには
「フォーチュン」1962年12月号のルポルタージュ、
"The Ancient Game of Supply and Demand" 
(受容と供給という古代からあるゲーム)の切り抜きが
保管されていました。
この記事にはレオが世界中で撮った市場の写真が掲載されています。
以下、すべてのページではありませんが、
いくつかアップしてみます。


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レオのトスカーナ地方の家のアトリエに入っていくと、
友人のアーティストたちのタブローや様々なオブジェ、
たくさんの書物や画集など実に色々な物があり、
とても楽しい場所だったのですが、
レオの手の届きやすい長い白い棚には
世界で集めた小さな人形や動物、野菜や花、かごなどが一列に並べられ、
レオの「世界市場」が展開されていました。

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「フォーチュン」のこの記事を今日見て、
改めてレオの家の棚の上にあったあの忙しい市場が
どういう意味合いを持っていたのか、
ようやく分かったような気がしました。

レオは経済学を自分から選んだのではなく、
アメリカからイタリアに引っ越して来た時に
イタリアの古典高校に入学できるイタリア語力がまだなく、
仕方なく勉強せざるを得なかったのですが、
こうしてすべてのつじつまがあった、
ということなんだろうな、と思いました。

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