ローマ・デッサン帳

ローマでの生活、見たことや感じたこと、絵本と美術関係の仕事について綴ります。

2007年6月25日 ザリガニ

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先週末は息子の幼稚園のときの親友、ミキスの両親に招かれて
ミキスのおじいちゃんたちのリエーティの家にお邪魔した。
リエーティはサラリア街道を北上したところの、
ラツィオ州北端の丘陵地帯にある街だ。
彼らの所有する家は17世紀前半に遡る古い塔の周りに作られた、
小さなお城のような4階建て。
17世紀後半のフレスコ画がほどこされている部屋もあり、
木の階段がきしみ、ちょっと幽霊でも出そうな感じだ。
内装としては18世紀に遡る古い家具などがたくさん
あったらしいのだが、2年ほど前になるだろうか、
泥棒が入り、いい家具はすべて持ってかれてしまった。
歴史家であるおじいちゃんは、先祖の歴史を語るそうした古い、
愛情のしみこんだ数々の品を奪われ、体調を崩すほどのショックを受けた。

リエーティ郊外の山には聖フランチェスコに関係のある
史跡や僧院がいくつかあり、巡回式の巡礼地となっている。
今回はフォンテ・コロンボという、泉の近くの岩に建てられた
小さな僧院を訪れた。
そこでフランチェスコは目の手術を受けた。
焼きごてをほおからまゆにかけて当てるというものだったらしい。
説明を読んでいるだけで痛くなりそうな恐ろしい手術だ!
この僧院の岩の洞窟で、フランチェスコは
托鉢僧団の規律を文章の形にしたということだ。

泉から発生している小川のほとりでピクニックをしたが、
そこには大きな水車小屋の跡も残っていた。
かつては水量がもっと豊富だったのだろう。
ザリガニがいたので、スーパーで野菜を選ぶ時に使うプラスティクの
手袋を裂いて結んで糸代わりにし、釣り竿を作ってみた。
餌はお昼の残りのボローニャハム。重りには小石。
釣れるとは思わなかったので、よそ見をしていたら、
いきなりぐっ!白い、大きなザリガニがハムにかぶりついているではないか!
ザリガニはイタリア語でgambero di fiume, 川のエビという。
中世、ルネサンス期の星座の壁画などを見ていると、
「蟹座」にはカニではなく、ザリガニのような動物が描かれている。
キャンサーcancer、カンクロcancroとはエビ系、
カニ系甲殻類の両方を指していたらしい。
ちなみに、キャンサーは「癌」という意味だが、それは腫瘍が
カニのはさみのような形をしているから
そう呼ばれるようになったということらしい。

今回はトカゲがサソリを食べるのだと言うことも発見し,
日没後すぐに訪れた暗闇の中で舞う蛍を見、
ヤマネの親子の鳴き声に耳をすました。
子どもたちは何かの儀礼のように、
お昼のバーベキューの時の残り火に静かに干し草をくべ続けていた。

*写真は息子と親友ミキスこと、ミケランジェロ。フォンテ・コロンボの森の中で。