ローマ・デッサン帳

ローマでの生活、見たことや感じたこと、絵本と美術関係の仕事について綴ります。

2007年 三月 その1

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2007年3月14日

今朝は工房に行く前に少し時間があったので
地下鉄のレプブリカ駅で降り、
国務省近くの青空市をのぞいてから
サンタ・プラッセーデに寄った。
怖そうなジプシーのおばさんが側面入り口によく
しゃがんでいるので入りにくいのだが、
今日はおばさんを乗り越えるようにして教会に入った。
入ってすぐ左側の薄暗い小さなチャペルのモザイクが
初春のやわらかい日差しを浴び、金色に光る。
モザイクをはめこむ角度を変えることによって
光の加減を調節するのだとラヴェンナのモザイクアーティストの
マルコが教えてくれたのを思い出す。
教会の正面のとびらから出ると、小さなかわいらしい
中庭に出、花咲くアーチをくぐって
暗い階段を降りて行くと道に出る。
近くにパン屋があるせいか、暗い回廊には香ばしいにおいが
こもっていて食欲をそそられた。

本日は例のソレントの筆記用具箱に施した花に色をつけた。
仕上げにはgomma lacca ではなく、蜂蝋とパラフィンを
まぜたものを使ったらどうかと言われ、実行してみることに。
使用されている木がオリーヴなので、のりののりが悪い。
せっかく取り付けた足の部分が蝋をぬりつけているうちに
はずれてしまった。
でもそのおかげで取り付けたねじが中で折れてしまっているのに
気がつくことができた。

この間お寿司を食べに行った時、
回転寿司のカウンターで
多分少しダウン症の子どものいる家族といっしょになった。
三人兄弟でその子は末っ子だ。
おにいちゃんとおねえちゃん、そしてお母さんは
その子の相手をあまりしない。
お父さんが一生懸命、その子の面倒をみてやっていた。
どんな質問にも必ず答えるようにしていた。
そのほかの家族は涼しげにお寿司を食べる。
なんとなくみていて悲しくなってしまったが、
今朝はどうしてそういうふうなのか色々と
事情を想像してみたりしながら歩いた。

息子のクラスは最近落ち着いたみたいで
あまり文句をいう父兄がいない。
しかしこれは嵐の前の静けさでもあるかも?
おとといはとつぜん怒り始めた子が
女の子のリュックを外の子に投げつけたらしい。
親の愛情、家庭の暖かさに飢えているのが
目に見える。