ローマ・デッサン帳

ローマでの生活、見たことや感じたこと、絵本と美術関係の仕事について綴ります。

2007年11月20日 まだまだムナーリ

ムナーリの『ムナーリのグループ展』という本の訳を今仕上げている。
(題名をどうしたらいいか、まだ悩んでいる。
あまり自分で決めてしまうよりは
みんなに相談するのが一番だ・・・)
これはムナーリの自己紹介的な小さな本で、
主要な作品群の簡単な説明が写真に添えてある。
本のページを少し引き延ばしてグレーのコットンボードに
切り貼りをした、24枚のパネルがあるのだが、
これはムナーリが自分で用意したものらしい。
小さな書店のスペースにも飾れる携帯式『自分展』。
マントヴァで展覧会用の作品リスト確認中に
日本に持って行ってはどうかと勧められた。

ムナーリは40年代、女性誌のアートディレクションも行い、
自分で奥様向けに記事を書いたりしていた。
イラストや写真が入っていることも多い。
室内インテリアの色を、絵画の名作で使われている色をヒントに
決めていったらどうか、というアドヴァイスの記事は本当に楽しい。
確かに画家は自分の色調(画家それぞれの「パレット」という言い方を
イタリア語ではする)というものを持っている。
ううん。例えば日本の作品を選ぶとしたら何がいいだろう。
若沖の絵を一枚選んで色彩コーディネートをしたらすごく渋い
室内になりそうだ。
自分の中の「ステレオタイプ」から脱却するための
きっかけは本当に身近なところにあり、
もっと生活を楽しく、クリエーティヴなものにしていこう!!!
と励まされているようなのだが、
なかなか心の余裕のほうができあがらない・・・

今回の日本のムナーリ展では『トッローネと言えば…』という
へんてこな本も展示される。
これは説明をしてもらった時には涙が出るほど笑ってしまったのだが
展示が難しそうである。
本を開くと本物の金槌が入っていて、ページには
「・・・どうしようもなく硬いものもある。」と
一言だけ印刷してある。
(これは全部で19部しかない限定本。)
トッローネを初めて食べ(ようとし)た時のことを思い出す!
開くとアーモンドと蜂蜜、バニラのどうしようもなくいい香りがし、
どうぞ食べてくださいと誘われているようなのだが、
これが口に入れてもかめないほど硬かったりする!
(イタリア人でも「トッローネ・モルビド」という、
ソフトヴァージョンを好むようである。)
木槌で割って食べる歌舞伎座の堅焼き煎餅を
前両親にもらったことがある。
この金槌のほうは、食べたくてもちゃんと食べられない
歯がゆさを表しているようで、なんともおかしい。