ローマ・デッサン帳

ローマでの生活、見たことや感じたこと、絵本と美術関係の仕事について綴ります。

2007年11月30日 ムナーリとエイナウディ

あさってがムナーリ展のオープニングだ。
展示のお手伝いに参加できないが残念だ!
何とも素晴らしい展示だそうである。
駒形さん+(大好きな)段ボールという組み合わせが楽しみだ。

今回の調査は、イタリアの戦後が終了したと感じさせるものだった。
ムナーリはエイナウディ社のアートディレクターだった。
エイナウディの本のイメージは彼が作り上げた。
白地に赤い四角、青い四角たち、イタリア史の緑、
イタリア文学史のオレンジ・・・。
卒論を書く時にもお世話になった本たち。
エイナウディ出版の創立者の一人であるレオーネ・ギンズブルグは
ファシズム政権下に拷問に遭い、ローマのレジーナ・チエーリ刑務所にて死亡。
レオーネという人の重みが今更のように感じられる。
ファシズム時代はguerra civileの時代。
(大学時代のmentorのおかげでレオーネの息子、歴史家カルロに出会い、
その導きでボローニャ大で勉強することになり、
不思議な巡り会いでレオーネとナタリアのお孫さんと同居することなった。
電話でしか話したことのないナタリアの優しい声の響き。)
ムナーリはしかし、何と軽やかに時代を生きた人だろう。
アイロニーを武器にすれすれのところで冒険をし続けた・・・

今書店に行くと、エイナウディの本の装丁の変化が目につく。
80年代に危機を迎えたエイナウディはモンダドーリ社に買収された。
四角には現在中間色が使用されている。
ムナーリの企画しエイナウディの児童書のシリーズ、『タンティバンビーニ』も
昨年あたりから新しいシリーズとなって復活している。
まだ3巻ぐらいしか出ていないが、
若手作家を起用、テーマが実験的であるという点では 
ムナーリのラインを踏襲しているかもしれないが
いまのところ、ゼログラフィーによる『黄色ずきんちゃん』に
見られるような冒険はまだ感じられない。