ローマ・デッサン帳

ローマでの生活、見たことや感じたこと、絵本と美術関係の仕事について綴ります。

2008年2月4日 ドロシー

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2008年2月4日 ドロシー
ガルバテッラ地区のパッラーディウム劇場にて
"Dorothy. Sconcerto per Oz"
(『トロシー。オズにささげる混乱のコンサート』といった感じの訳か)
という音楽劇を観に行った。
形式はちょっと文楽風。
太夫のような指揮者が舞台全体を君臨するように上方に膝ま付き、
バトンをふりながら、『オズの魔法使い』の映画全体を語る。
台詞はすべて映画のもの。歌もちゃんと歌う。
ドロシーはハリケーンだということになっていて、
舞台の上にはマットがいくつも敷かれていて
観客も「避難民」となってそこに横になれるようになっている。
舞台の上を、そして客席の合間を縫うようにして9人のドロシーが
オペラのアリアを歌いながら、「太夫」の語りに
「雑音」を入れていく・・・・
(買い物袋をこすってガサガサ音を立てている客席のドロシーもいて、
役者の仕業だと分からず、怒る観客がいた。)
最初はおもしかったが、全体がこういう感じで起伏にかける劇だった。
オルガンのパイプのようにざざざっと並んだ
ネオンライトがおもしろかったが
稲妻を象徴しているのはいいけれど今ひとつ全体になじまない。
などなど、色々と考えさせられる劇であった。

サンン・パオロのバジリカ近くの丘の上のガルバテッラ地区は
1920年代に開発された庶民用の居住区。
最初はイギリスのガーデン・シティーと同じ形態をとり、
いろいろな様式のかわいい住宅にお庭がついていて、
畑も作れるように配慮された。
ファシズムの時代に入ってからは緑地保存のほうはおろそかになり、
巨大な団地のような建物がたくさん建設された。
昔、映画館だった劇場は地区の中心地にあり、
仕事のあとのちゃんと娯楽の時間が用意されていたことが伺える。
戦時中にはプロパガンダ用の映像がきっとたくさん
上映されたに違いない。
おいしいピッツァ屋さんもあり、とてもおもしろい地区なので、
週末のお散歩におすすめだ。