ローマ・デッサン帳

ローマでの生活、見たことや感じたこと、絵本と美術関係の仕事について綴ります。

2008年 2月14日 『クワイエット・カオス』

昨日ナンニ・モレッティ主演の映画、
Caos calmo(静かなカオス)を観た。
ジュリオ・チェーザレ映画館の第一ホールはゆったりとすわれるし、
画面も大きいので一番気に入っているのだが、
その館内もきのうは満席だった。
妻を亡くした悲しみをうまく処理できず、一人娘を学校に送ったあと、
下校時刻まで学校の前で一日を過ごすことに決めた男の話だ。
学校前の小さな公園にはバールもあり、そこで食事もできるし、
携帯で仕事を続けることもできる。
舞台はローマの高級住宅街、パリオリ地区。
「パリオリ族」の退廃的な生活がよく表現されていた。
ヴェロネージの小説はまだ読んでいないが、読んだ人の話によると、
かなり小説に近い雰囲気なのだそうだ。
しかしどうも説明不足の部分が多く、
編集の段階でだいぶそぎ落としがあったことが想像された。
久しぶりのモレッティはやっぱりモレッティだった!
シルヴィオ・オルランドも、いつもの彼であった。
イタリアの俳優はコンメディ・デラルテの「マスケラ」のように、
決まったタイプの人物しか演じない(演じられない?)性格俳優が多い。
キャストの中ではしかしアレッサンドロ・ガズマンが
とーーーってもかっこよく、モレッティの弟を好演。
日本でも公開されるかもしれないので、これ以上語るのはよそう。

世界のどこでもそうなのかもしれないが、
クラスの父母も小学校五年間ずっといっしょだと一つもクラスになる。
下校時間のお迎えの時には、(全日制の場合は)4時頃から学校前の広場に
親やベビシッターの人たちが次々と集まってくるのだが、
そこにできあがる人間地図は実におもしろい。

昨日は学年前期の終了日であり、息子と通知表をとりに行った。
息子の学校は五段階評価。科目はイタリア語、英語、音楽、芸術教育、
体育、歴史、地理、算数、理科と実験、技術(コンピュータ)。
そのほかに各学校が毎年独自に決める特別科目というものもあり、
息子の学年では、「市民教育」という科目が設置された。
そこでは新聞記事をもとに、時事問題のディカッションなどが行われる。
「態度」という項目では規律を守れるかとうか、
協力的で思いやりがあるかどうかなどが評価される。
「宗教」は選択科目。
息子のクラスの場合、ほとんど全員がこの科目を選択している。
これは事実上、大司教館の派遣する教師が教える
カトリック要理に近い授業なのだが、
先生によっては各国の宗教や神話をとりあげる人もいるとのことだ。

明日はクラスメートのサミーのお別れ会だ。
ボリヴィアに帰国してしまう。
出稼ぎで来ているお母さんは生活が苦しくて
二人の子どもを手元で養育するのをついにあきらめてしまった。
きのうクラス全員が泣いてしまったそうである。