ローマ・デッサン帳

ローマでの生活、見たことや感じたこと、絵本と美術関係の仕事について綴ります。

2008年 4月16日 2008年ボローニャ・ブックフェア

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今年はボローニャのブックフェアも大盛況だった。
日本の出版社にとってはしかし年度末にかかっていたので
参加が大変だったようである。
今回は仕事でブースの方はあまり回れなかった。
福音館のテーマ別の季刊絵本というのだろうか、はしかししっかりみた。
大人にもおもしろいもののああり、
「仏像の修復」をテーマとしたものもあってびっくり。
ドキュメンタ用には駒形さんのワンスロトークを筆頭とする
「スモール・ワールド」という、3つの出版社と
フランスの「3匹のくま」さんたちによる共同ブースを密着取材。
量ではなく質を目指す、大きくなろうとせず、
小規模であるという特質を生かして他では作れないものを作る、
そういう出版社たちを世界から集めた、ボローニャならではのブースだ。
その中で今回のラガッツィ賞のニューホライズン賞を受賞した
タラというインドの出版社は一册ずつが手作りの本を出版している。
森に住んでいたゴンダ族の人々といっしょに制作した
『木々の夜』The Night Life of Trees。
1000部制作されたシルクスクリーン印刷の本はすべてナンバー入りの本物だ!!
本を開くととてもいい香りがする。
少し盛り上がったインクを手で触って絵をなぞる・・・
メキシコのペトラは主に写真絵本が専門。
メキシコという国について知ることのできる白黒のゲーム絵本から
メキシコの日常生活の中にある形や色をテーマとした小型のボードブック。
こちらの出版社も2006年にニューホライズン賞を受賞している。
取材中にはアメリカのスティーヴン・グァルナッチャにもばったり会い、
「3ひきのくま」の一匹でもあるということで
インタビューに応じてもらった。
(グァルナッチャさんはとてもおしゃれで、
「グァルナッチャさん着せ替え人形」を作ってみたいと思ったほどだ。)

2008年の国際絵本原画展の冒頭を飾るアーティストは
ブラティスラバのビエンナーレのグランプリを受賞した
エイナール・トゥルコウスキー。
(アイナールではなく、本人にエイナールが正しい読みなのだと言われた)
とっても優しい背の高い好青年で、
「英語はあまりできませんが・・・」と言いながらも
とってもなめらかな英語でインタビューの質問に答えてくれた。
日常見慣れているものの形の中に驚きと発見がある、
鉛筆一本でこれだけの「色が」出せる・・・・
彼はハンブルグ造形大学のイラストレーション学科を最高成績で卒業。
グランプリを受賞した作品はそのときの卒制だったということだ。
作品を見たスイスの出版社のハンスさんはすぐに出版したいと
思ったらしい。
(お二人とも木工が大好きで、そのへんでもとっても気が合うのだそうだ。
いつも会うと二人で道具の話をするそうである)
『暗い、静かな夜に』は日本語でも出版予定。
どことなく、宮崎駿にも通ずる不思議な手作り機械の世界が感じられ、
日本人にも親しめる作品となるのではないだろうか。

ハンス・クリスチャン・アンデルセン賞の受賞者の発表がいつも
ブックフェアの会期中に行われるのであるが、
2008年は日本でも『ピノキオ』が出版されている
イタリアの絵本作家、ロベルト・インノチェンティが受賞!!!!
彼は第2次大戦やイタリアの移民たちを取り上げた社会的なテーマの絵本も
制作しており、世界の絵本史に大きく貢献しているすばらしい作家だ・・・

ドキュメンタのボローニャ紹介コーナーでは
今年の日本人入選作家さん、えんどうひとみさんに
ボローニャの食材を紹介してもらうことになった。
ひとみさんに似顔絵を描いてもらった八百屋さんのおじさんは大喜び!!
昨年とはまた違った感じのテーストのものに仕上がりそうである。
お買い物撮影後にはカメラマンのマッテーオもいっしょに
借りていたアパートで大料理大会。
老舗タンブリーニのトルテッリーニはやはりおいしiiiiiissimo!
  *写真そのうちアップします・・・・