ローマ・デッサン帳

ローマでの生活、見たことや感じたこと、絵本と美術関係の仕事について綴ります。

2008年 9月25日 絵本雑考 3

昨夜相棒といろいろ話していたのだが
やはり子どもが自分でも読める挿絵入りの、
子どものために書かれた本が出版されるようになるのは
「児童」という概念が定着し、
中産階級の購買力が安定してから。
それまでは子どものための本と言えば教科書のみ。
(教科書は大人にとっての読み物でもあった。)
庶民の絵本は・・・
教会内のフレスコ画、大道芸人たちがおはなしを語る時に使った
コマ割りのされた彩色画、地獄絵、人形劇、聖史劇。
上層階級の子弟も乳母達の語るおとぎ話を聞いて育つ。

カトリック教会ほどものがたりと絵というメディアを
深く理解していた「機関」はないのではないだろうか。
血みどろになって残酷な死を遂げた殉教者たちのオンパレード。
そういえば私も子どもの頃に一冊持っていたのを思い出した。
それは通っていたアメリカの教区学校で昔使われていたらしい
テキストのようなものの古本だったのだが
殉教者たちのおはなしをいくつか美しい60年代風の
イラストレーションで語ったもの。
(広告グラフィックに使用されていたスタイルだった。)
そういえば・・・
ソビエト連邦での生活はこれほどひどいものである、
というスライドを学校で見せられたのも思い出した。
(まさに冷戦時代ですねええ。)

話は更にそれてしまうのだが
今日はイラストレータで最近では詩人でもある
大好きなヨッチさんがボローニャの美術学校を卒業する日。
うん、きっと今頃卒業試験。
(自分のときのも思い出す。
イタリアでの自分というものを
確認する瞬間であった。)
がんばれヨッチ!