ローマ・デッサン帳

ローマでの生活、見たことや感じたこと、絵本と美術関係の仕事について綴ります。

2009年 6月 日本の未来派詩と音楽の夕べ Serata di musica e poesia futurista giapponese

ひょんなことからオーガナイズする事になった
(実は登校下校時の、お父さんお母さん同士の交流の中から・・・)
「日本の未来派音楽と詩の夕べ」、と題するコンサート、
本当にたくさんの方々の協力を得て9日に実現できました。
みなさんに心からお礼申し上げます。
イタリアにて知られざる日本の一面を、
今年未来派宣言百周年を記念する
地中海文芸フェスティヴァル、ローマ日本文化会館のおかげで
紹介することができました。
日本戦前の前衛音楽を作った
石川義一、伊藤昇、倉重俊介、石井五郎、太田忠の作品が
恐らくヨーロッパ(少なくともイタリアで)で初演されたことになります。
知られざる曲の演奏にオーケーをしてくださった
ピアニストの川畑里子さん、メゾソプラノの三角枝里佳さん、
すばらしかったです。
石川義一は1925年にプラテッラの未来派音楽を日本の紹介。
イタリアの未来派研究者であった詩人、画家の神原泰とも交流がありました。
伊藤昇、すごいです。今回は歌曲『接吻の後に』と『太陽に唄う』を披露。
『太陽を唄う』の前には神原泰の『真昼の街道』と『真夏』という
二つの詩の朗読を入れてみました。
(最初にイタリア語訳を、そのあと原語で。)
詩と音楽を交互に、というアイディアは音合わせ中に出てきたものです。
ピアノの川畑里子さんが、『真夏』の詩の朗読のあとに、
「はい、ここでばばーん」と『太陽に唄う』の冒頭を弾いたら
それはとってもつじつまが合っていたのです。
『太陽に唄う』は6連譜、9連譜によってなる
「音塊」のぶつかりあい・・・という、今回大変お世話になった
長木誠司先生の評がありますが、
神原泰の詩における名詞の激しいぶつかり合いに呼応しているようでした。
演奏中にはダニエーレ・ロンバルディのよる「講義コンサート」の
フォーマットに習い、日本の「未来派」絵画の絵をスライドを上映。
音楽、言葉、イメージがうまいぐあいにミックスされていました。
ローマ、ミラノ、ロヴェレートで未来派絵画に関する3つの展覧会が
開催されていますが、どれもドイツ、フランス、ロシアには至るのですが、
そこで極東の日本が入れば、すばらしいのになあ、とも
思っていたのですが、今回の上映で多少はこのつながりを紹介することが
できました。いやいや、やることはたくさんあります。
今回は第一歩というところでしょうか。
・・・みなさん、これからもどうかよろしくお願いいたします。