ローマ・デッサン帳

ローマでの生活、見たことや感じたこと、絵本と美術関係の仕事について綴ります。

2010年 10月 大学並みの中学の授業?? Un salto di livello

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                               ベッリ中学校コル・ディ・ラーナ分校の屋上。
          星座観測教室が開催されます。
          「コメニウス」というヨーロッパ共同体のプロジェクトから出た
          資金を用いての改装でした。
          文部省からの資金はいっさい出なくなりました。 
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天文学の特別教室。すごい望遠鏡があります。
「コメニウス」プロジェクトに選ばれた教師がいることこより、
こうした機材の購入が可能となったのです。
今まで学校に一機もなかったドリルも「コメニウス」」のおかげで
購入できたとか。
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子どもたちの作った太陽系のモバイル。

息子の中学では授業が始まってから2ヶ月近いのだが
すでにverificaという、正式に結果の記録される試験が始まっている。
息子は残念ながら第2言語ドイツ語のコースには男子の申し込みが多すぎて
アプセプトされなかったのであるが、
この第2言語フランス語の、週36時間のクラス(全日制に相当)は
先生たちの質もよく、入って来た子どもたちのレヴェルもなかなかのものらしい。
特に音楽に関しては、ほとんどの子どもたちが楽器をプライヴェートで習っているので
楽譜の読める子が多く、先生も教えていて初めてこんないいクラスに出会った,と言って
とても喜んでいた。
(この素敵な先生はジャズヴォーカリストでもあるらしい。
音楽学科のあるこの中学の合唱団の指揮者でもある。)

イタリア語、歴史、地理の人文系の3科目を担当してる先生はとても厳しく、
毎日のように宿題が出て早速文句を言う父兄の攻撃に遭っていたが、
(私は残念ながら仕事があり、この会合には参加できなかったのだが、
ひどいことをいう父兄が何人かいたらしい・・・先生ってほんとに大変な職業だ)
この間個人面談に行って素晴らしい人格者であることを発見。
授業も容赦なく、いきなり難しい用語を使って開始。
まったくの大人扱いで、まるで大学の授業だねえ、と親同士でコメント。
中高には大学らで教えたいけれどもなかなかポストにありつけない、という先生が多く、
そういうフラストレーションを子どもにぶつける例がいくつかあり、
彼女もその系列ではないかと、懸念する親もいる。
でもこの間話した感じだと、そうではないのではないかと思った。
子どもたちの可能性を信じ、小学校出たての彼らをぐっと引き上げる。
最初は用語の意味が分からなくても、コンテクストでとらえてだんだん分かるようになる・・・。

日本でイタリア語を大学、大学院と計6年間勉強したのに
最初はついてけなかった大学の授業を思い出す。
(卒業論文も博士論文級のものがあの頃[旧制度]はほとんどで、
一冊読み終わった時にショックが大きすぎて文字通り寝込んでしまいました。
と前にも書いたかも。)
でも2年目には、イタリア語でノートがとれるようになり、
イタリア人の学生が私のノートにのぞきこんで書き写すということが起き、
一人で大満足したのを覚えている。
息子の小学校の時からの同級生のビアンカが歴史の授業が難しすぎて
今すっごく落ち込んでいてお母さんも困っているのだが、
この苦労話をしてあげたいなと思った。
もちろん状況は違うけれど、最初はちんぷんかんぷん、ということが
当たり前なこともあるのだよ、と。

息子に歴史、どう、と聞いてみると、大丈夫だよと言う。
日本語とか英語などで話す環境にいることに多少慣れている彼にとって
(つまりはちんぷんかんぷん状態)
文脈や状況の中からだいだい何が話題なのかを推測できる力が
ついているのかも。