ローマ・デッサン帳

ローマでの生活、見たことや感じたこと、絵本と美術関係の仕事について綴ります。

2010年 A Single Man ローマ・アジア映画祭参加作品



今年11回目を迎えるローマのアジア映画祭、
下院モンテチトーリオのすぐ近くにある
元劇場だったカプラニカというホールで開催されました。
フェスティヴァルは映画部門とドキュメンタリー部門が中心で、
毎年特別に取り上げられる国の映画上映も行われ、
今年は台湾がゲスト国でした。
残念ながら仕事やら息子のお迎えなどで相変わらず1編しか
見ることが出来ませんでしたが、
中国の28歳の監督の作品、Single Manはなかなかの力作でした。

Hao Jie
2010 / 93'' / China
イメージ 1

左側が映画のポスター、右側には毛沢東時代のポスター展の広告用葉書

北京から150キロほど離れた監督の出身地の人たちが自分たち自身を演じる
痛快なコメディー。
一人っ子政策の弊害で女性不足により結婚できない男性たちがどんどん増えており、
社会問題となりつつありますが、
この映画の主人公は貧しい農村に住む4人の独身の老人たち。
その演技力は信じられないほど素晴らしいもので、どこまでが本当で
どこからがお話なのか、その境目がまったく見えませんでした。
ものすごい喧嘩になるとカメラがその場を離れ、
くもったガラス越しに取っ組み合いをする影が見られ、
音声だけが聞こえてくるという手法が用いられていましたが、
これがなかなかエレガント。まなざしの優しさを感じました。
監督本人が会場に来ていたのですが、
中国ではこの映画は検閲の都合上、上映できないのだそうです。
なんとも腹立たしいことです。

フェスティヴァルは昨日まででした。
英語のホームページは
http://www.asiaticafilmmediale.it/en_page.php?id=46
日本の映画もいくつか上映されました。

Minoru Kurimura
2010 / 75'' / Japan
Kenta To Jun To Kayo Chan No Kuni / A Crowd Of Three
Tatsushi Omori
2009 / 131'' / Giappone
Tetsuya Mariko
2009 / 106'' / Japan

見たかったなあ。
時間帯にもよるのかも知れませんが
このフェステヴィヴァル、カプラニカ映画館で見れば入場が無料なのに
東洋学部の学生たちの姿が毎年ほとんど見られないのは本当に残念です。