ローマ・デッサン帳

ローマでの生活、見たことや感じたこと、絵本と美術関係の仕事について綴ります。

ボローニャ児童図書ブックフェア2011年 ささやかな報告1 I BELIEVE IN BOOK POWER

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今年は目が覚まされたような、なつかしいボローニャを目指してのあわただしい出発。
3月末の土曜日のボローニャ。
中世期から建つボローニャ商工会議所の建物のバルコニーには
イタリア統一150周年記念の長い国旗がまだ飾られていた。

相棒たちとさっそく会場で落ち合い、
相棒の、国際児童図書評議会のexecutive committee会議出席で
アシスタントをしたあと、
さっそくブックフェアの国際絵本原画展会場にあるJBBYブースの
準備をみなと始める。
一体ブックフェアにて、我々には何ができるのだろうか、ということの
話し合いによる一つのささやかな結論。
新聞に掲載された被災地でがんばる子どもたちの小さな写真展を開こう。
グラフィックはよっちさんが担当。
写真のキャプションを読みながら、どういうイタリア語キャプションをつけたらよいか、
3人でとても迷いながら決める。
写真から感じられるストーリー、写真の中から語りかけて来る子どもたちの
言葉に耳を向けながら・・・・。

vuoi giocare con noi? いっしょにあそぶ?

che bello rivedere gli amici... よかった友だちにまた会えて!

di nuovo assieme a mio papi  おとうさんといっしょ

era grande come un mostro!! 怪物のようにでかかったよ!

nonna, quanto mi mancavi....  おばあちゃん、さびしかったよ

......


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ブックフェア開催前からボローニャの街では
いろいろなイヴェントが開催される。
サン・ヴィターレ通りのかわいい子供服のお店では
レオ・レオニと大変親しかったデザイナーのアンドレア・ラウク氏が2年前に始めた
出版社主催のオクタヴィア・モーナコ原画展のオープニング。
作品はニュータイトル、モーナコの挿絵付きの『鏡の国のアリス』の原画。
かわいい洋服の間から、ちょっとこわいけれど美しい原画がこちらをのぞいていた。
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お店の前のアーケードの下には
「わたしをたべて」と書いてある
小さな袋入りのクッキーやワインがふるまわれていた。
ああ,ボローニャに帰ってきた!!!
何もかもが、ありがたく、しみじみと味わいたいと思った。

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そのあと、駅近くのボローニャ現代美術館でのオープニングに。
すべて歩ける範囲にあるのでうれしい。
それが「人間にとってちょうどいい尺度の」ボローニャの特徴だ。
(元同居人友人ブルーノ・カパーチの言葉)
こちらでは、美術館内のかっこいいデザイン、現代美術関係のブックショップ
(一度入ったらもう出でこられない)を経営している
出版社、ギャレリーでもあるコッライーニ社と、
フランスのデクヴリール社主催の二人の作家の合同展。
まずは、台所にある様々なキッチン用品をいろいろなものに見立てて楽しむワークショップの
マニュアルのような、クレール・デのA toi de jouer 展。
会場にはオレンジ、黒、黄色のたらいやふるい、フライ返しなどが積み木のように
つみかさねられ、とてもきれいなインスタレーションとなっていた。
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日常のあたりまえな形がこんなにおもしろいなんて!!
どんなものも、実は楽しく遊べてしまうのだなあ、とあらためて思った。
会場には、子どもたちもすぐに遊べるように、
黒い布の上にオレンジと黄のプラスチックの容器が用意されていた。
コッラーイーニの展示は、ハリエット・ラッセルのニュータイトル、
『お昼前の不可能な60の事柄』の原画展。

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ハリエットは、コッライーニ出版のマルツィアがたしか、
国際絵本原画展の審査をしたときに大変気に入った作家の一人であり、
これをきっかけに彼女とコッライーニとの間のコラボレーションが始まった。

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ちょっと休憩。

ボローニャのメディチ家と言われたベンティヴォリオ家の
昔のお屋敷の酒蔵をレストランに改造した
Cantina Bentivoglioの名物デザート。
わたしたちが「しあわせばなな」とこの日から呼ぶことになったお菓子だ。
本当の名前はcoppa delle delizie。
マスカルポーネ・チーズのクリームの中に
バナナが埋め込まれ、
チョコレートソースがかかっている。
ひとすくいめでバナナに当たったら幸せは倍増。


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JBBYブースでのささやかな展示の標語は


I BELIEVE IN BOOK POWER。

一体何ができるのかのブレインストーミング中に出てきた言葉。

夜、避難所のストーヴで暖をとりながら、
本を読む少年。


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ブースには画材を置き、
ブースを訪れてくれるイラストレータたちに
被災したこどもたちへのメッセージをA4のコピー用紙に描いてもらった。

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こちらは前に国際絵本原画展の審査員をした、ベルギーの作家、
クラース・フェアプランケさんとその作品。
昨年の国際絵本原画展のブラティスラヴァ国際絵本原画展の
グランプリを受賞したタシエスさんとともに、
震災のあった直後、すぐにメッセージを送ってくれた。
今年も会えて本当に本当に、うれしいね、とbig bear hug。

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