ローマ・デッサン帳

ローマでの生活、見たことや感じたこと、絵本と美術関係の仕事について綴ります。

ヴィテルボの守護聖女、サンタ・ローザの神輿 Processione di Santa Rosa a Viterbo 2011

ローマから北へ70キロ行ったところの
エトルリア人の街、ヴィテルボ出身の人にとって、
サンタ・ローザのお祭りはとっても大事なイベントです。
毎年9月3日に行われるこの盛大な宗教行列の御神輿は
何と30メートルの高さ、5トンの重さ。
100人のヴィテルボの強靭な男たちによって
ヴィテルボの歴史的中心街の1キロ分の道に沿って担がれます。

御神輿を担ぐ男性のことを「ファッキーノ」(担ぐ人)と呼び、
ファッキーノの任命されるためには100キロの重さのものを肩に担ぐという
過酷なテストをパスしなければなりません。
しかも、ヴィテルボゆかりの家系の属していかければならないということです。
(女性は参加できません・・・)

イメージ 1
ローマ門に「マッキナ」は待機
夜9時に覆いがはずされます
イメージ 2

子ども神輿用の「ファッキーノ」(担ぎ手)の衣装
子どもの頃からお母さんたちは
自分の息子が将来ファッキーノになれるのではないだろうかと期待します


サンタ・ローザはヴィテルボ出身、13世紀前半に活躍した聖女。
クララ修道会に入りたかったそうなのですが身体が弱すぎて受け入れられず、
フランチェスコ会の在俗の第三会に入ります。
カタール派の教皇批判にまっこうから反対するプロパンダ活動を
精力的に行いました。
15世紀に聖人に列せられるのですが、
その遺体を最近分析したところ、
生きていたこと自体、不思議な現象だと思われる
心臓の欠陥が発見されたということです。
ヴィテルボ人の友人の義妹はシチリア出身なのですが
サンタ・ローザをとても尊敬していて、
その生涯について実に熱く語ってくれました。

この宗教行列が始まる前に100人の担ぎ手たちをめぐる
さまざまな儀礼が教会で展開され、
その間にヴィデルボ人は御神輿の通る道沿いに見学用の場所を
陣取ります。
陣取り合戦は朝早くからはじまり、
わたしたちは5時ごろ着いたのですが、うしろのほうの場所しかもう
残っていませんでした。

今年のmacchina(神輿)は2009年に制作されたもので
Fiore del Cielo「天空の華」と名付けられています。
5年ごとに新調されるので、この神輿はあと2回運ばれます。
一番上のほうにローザの彫像があり、
薔薇の花びらを散らしたり、煙が出たりと、色々な仕掛けつきです。

神輿は夜の9時にローマ門を出発。
ゆっくりゆっくりとすすみます。
街の明かりはすべて消されます。
アパートで明かりのついているものがあれば、みんなが騒いで
消すようにと大声で叫びます。

イメージ 3
ぐらっとゆれて建物にぶつかりそうになったりします
ファッキーノたちの動きのコーディネートも毎年の批評の対象になります
チームごとに交代する瞬間もサスペンスに満ちています

神輿はゆっくりと、暗闇を照らすように進んできます。
それが現れる前に群衆は息を殺し、一瞬にしてあたりがしんとします。
まっくらな中、背の高い古い建物の壁がほんのりと照らされ、
サンタ・ローザがその姿を現すと
群衆が一斉に狂喜し、VIVA SANTA ROSA!!!という叫び声がものすごい勢いでし、
ヴィテルボ人でない我々も張り裂けんばかりの声を上げます。

イメージ 4

イメージ 5


100人の男たちの足並みにリズムをもってゆらゆらとする高い尖塔。
これは18世紀に始まった宗教行事なのだそうですが
電気のない頃はもっとまっくらだったので
塔が現れる瞬間は今よりももっと劇的な光景だったにちがいありません。

9時に出発したのですが、我々の待機する広場には11頃到着。
担ぐのももちろん大変だけれど、
5時からずっとその到来を待つのもけっこうしんどかったのですが、
(シエナのパリオ見学も一日がかりでした!こちらも凄まじいものがあります。)
この場を体験できて本当に幸せでした。

余談ですが
ヴィテルボの司教ももちろん行列に付き添っており、
あまりもの疲れに息子たちの陣取っていたアパートの玄関で
一休みをしたそうです。
「この椅子に司教様がすわったんだよ!」と子どもたちは会うなり言いました。

VIVA SANTA ROSA! (サンタ・ローザ、万歳!)