ローマ・デッサン帳

ローマでの生活、見たことや感じたこと、絵本と美術関係の仕事について綴ります。

イタリア小都市巡り ラヴェンナ、モザイクのきらきら Splendori dorati ravennati

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アットランダムにアップロードしてみたラヴェンナ、モザイクの写真です。
昔、ガラスはラヴェンナでも製造されていたそうです。
東ローマ帝国がラヴェンナ周辺の地域に攻め込み、しばらく支配していた時期があります。
ビザンチン様式はラヴェンナを経由してイタリアにも広まりました。

モザイクというと、ただガラスの破片を機械的にパズルのように
並べるのかなあ、と思われますが
実は作品に光がとのように当たるのか計算して破片の角度を決めながら
はめていくのだそうです。
よって、平面的ではなく、立体感を持ったものとなっています。
今回はそれがよく観察できたのではないかと思いました。
写真ではあまりそれがきれいにはとれなかったのですが。


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ドゥオーモ横の洗礼堂のモザイク。
このネオーネ司教の洗礼堂(洗礼堂は8角形)はユネスコの世界遺産にも指定されています。
円柱の立体感が、金色の(金箔の上に透明なガラスのかかった
サンドウィッチ状の破片たちです)モザイクを効果的にはめこむことによって
かもしだされています。
空間の人気のなさが、その神秘性を高めています。
洗礼を受けることにより、
金色にきらめく秘密の空間がわたしたちに明かされて行く瞬間です。

ラヴェンナは実に観光のしやすい、アットホームな静かな街です。
ユネスコの世界遺産に指定されている8つ遺跡も聖アポリイナーレをのぞけば
だいたい中心街にあり、徒歩でまわれます。
(昔の港、クラッセの聖アポリナーレにも駅前から出るパスで簡単に行かれます。)

ホテル近くに小学校があり、
8時半頃、自転車の荷台にのせられて登校する子どもたちが
たくさん見られました。
歩行者天国になっている道路も多いです。
主要観光地からははずれているので、
ビザンチン帝国の栄光を求めてわざわざ車でやってくる
ドイツやフランス、ベルギー、イギリスの老年の観光客たちが非常に多かったです。
ボローニャからは電車で1時間20分ほど。
ポー川流域、パダーナ平野の真っ平らななかを通っていきます。
延々と続く葡萄、なし、リンゴ、とうもろこし畑。

下の写真は
街の中にあるほうの聖アポリナーレ(新しい方)の教会の側廊。

まぶしい西日がさしこんでいます。

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西日にきらめく乙女たち。
the virgins glittering in the sunset

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一瞬のことです。

西日が去ったあと、乙女たちは
閉館間際の教会の夕闇の中にしずしずと沈んで行きます。

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乙女たちは東方からやってきました。
乙女たちの行列を目て追っていくと、三博士たちに先導されているのだということが分かります。

上の写真は今は無きクラッセの港の風景です。
ラヴェンナを経由して東方文化が流れ込む様子が感じられます。

最後にちょっと余談的な写真です。
モザイクの「金色効果」はラヴェンナの後世の教会インテリア装飾にも
影響を与えているかなあ、と思いました。
こちらは18世紀のフレスコ画による金を用いたデコレーションのモチーフですが、
いい具合に光が当たり、実にきれいでした。
他の街の教会ではあまり見ないように思います。

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