ローマ・デッサン帳

ローマでの生活、見たことや感じたこと、絵本と美術関係の仕事について綴ります。

ヴィーコ湖の森の中



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ヴィテルボの近くにある、カルデラ湖であるヴィーコ湖の森。
旅人を守るマリア様の祠が霧の中から浮き出して見えます。
イギリスのカンタベリーからフランスを通ってローマに向かう巡礼者の道沿いにあります。
中世期に杖を手に歩く巡礼者たちの行列がたくさん見られたことでしょう。
この道はイタリアでは「ヴィア・フランチージェナ」(フランス街道)と呼ばれ、
ローマに向かう人たちには「ヴィア・ロメア」(ローマ街道)と呼ばれていたそうです。


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標高約900メートル。
巡礼の道を離れて湖をぐるっととりかこむ丘陵地帯の霧深い森の中に入ります。
いつもは週末の遠足でやってくる家族連れでいっぱいになる森には
この冬の日曜日、誰もいず、しんとしていました。
『神曲』、地獄篇の冒頭でダンテは深い森の中で迷ってしまいます。
息子とその親友たちはいつのまにか、宿題で暗記しなければならない
この冒頭のカントを歩きながらお経のように唱えていました。

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降り積もった樫の木の落ち葉が層をなし、
ふかふかのマットレスの上を歩いているよう。

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途中で霧が晴れ、冬の光を受けたヴィーコ湖の湖面が姿を現しました。

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