ローマ・デッサン帳

ローマでの生活、見たことや感じたこと、絵本と美術関係の仕事について綴ります。

ヴェイオの遺跡とイーゾラ・ファルネジーナ

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ローマからカッシア街道を北上し、環状線を過ぎ、
ラ・ストルタという街を超えたころ、木々の枝で隠れてしまっているかもしれない
Isola Farnesina/ Parco di Veio の標識を頼りに右へ曲がり、
民家や農家をいくつか通り過ぎると
岩の上にのっかった小さなお城を中心とした街が見えてきます。
それは「ファルネーゼ家の島」と呼ばれる街。
谷間にある岩が島のように見えるかららしい。
街はとてもかわいらしい中世風。
家々の壁の色のグラデーションがとてもきれいでした。
街の中には植物がたくさん生え、壁の赤やピンクとコントラストをなし、
美しかったです。

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こちらがファルネーゼ家のお城で、16世紀頃の建物。
2本松が入り口を雄々しく飾っていました。

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入り口のところには古い馬車がとめてありました。
中庭には古い枇杷の木が。
街には門の外側に一軒レストランがあるきりで
お店は見当たりませんでした。もっとも日曜だったので
ウィークデイだともうすこし雰囲気が違うのかもしれません。

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さて、この街は自然公園に指定されているヴェイオの遺跡を中心とする
公園への入り口として知られています。
しかし、遺跡への入り口がなかなか見つからず、
現地の人に教えてもらいました。
カッシア街道と街をつなぐ道沿いの、
街の岩に着いたなと思ったら、岩に沿ってぐにゅっとヘアピン式に左へ下りて行きます。
確かに「遺跡発掘現場」といったような、少しさびた黄色い標識がたっていました。

要するに街の墓地へ下りて行く道です。
他界への入り口。
(上の写真はその墓地です。)

下って行くと人家などまったくない雑木林の中に入り、そこは別世界のよう。
訪れた時はまだ12月の初めだったので、私たちが足を踏み入れると
ざざああああっと
きれいな黄色い落ち葉がたくさん降って来ました。

遺跡のある区域の入り口にある水車小屋跡。
19世紀に建てられたもので、かつてはたくさんあった水車小屋の一つだそうです。

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ヴァルケッタの渓流の滝。
ヴェイオはエトルリア人の街で紀元前4世紀にローマに征服されました。
紀元後1世紀には完全に廃墟と化したということです。
ローマのヴィッラ・ジュリア美術館にあるヴェイオのアポロは
この地にて出土したもの。
ヴェイオ自然公園はこの遺跡を中心とした高台14.984 ヘクタールにもおよぶ巨大な公園で、
マウンテンバイク、馬、徒歩などでハイキングができるようになっています。

水車小屋のすぐ近くにあった洞窟。
携帯を電灯がわりにつかって冥界探検。
U字型にほられていて近くにあった別の入り口につながっていました。(よかった)

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エトルリア人によるものなのかどうかよく分からないのですが
こうした地下道をたくさん彫って水を引いていたということです。
地下水路をつたってローマ軍がヴェイオに侵入したと言われています。


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ヴェイオの街の城壁の一部でしょうか。
お昼にかかってしまったのであまり探検ができませんでした。

森の中は、鎮守の森の中でのような静けさです。
エトルリア人の街を囲む自然は
なんとなく日本の神社の森と雰囲気が似ていて、
とても存在感があります。

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イギリス人の画家を父親とする、エンリーコ・コールマン(1846 – 1911) の作品。
19世紀後半ローマの自然主義を代表する画家です。
なんとなく、風景が類似しています。

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遠くにファルネーゼ家のお城が見えています。
白馬の白さがまぶしかったです。

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ピクニックエリアを守る樫の木。
一体どんなものを見つめて来たのでしょうか。