ローマ・デッサン帳

ローマでの生活、見たことや感じたこと、絵本と美術関係の仕事について綴ります。

パラティーノの丘での「歴史オリエンテーリング」



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このプロジェクトの考案者は天文学者のトゥリオ・エビシャー先生。
息子の中学の「特別講師」です。

各班にパラティーノの丘の地図が渡されます。
地図には方位と遺構が示され、
右上には道の種類やそのほかの記号(遺跡の壁、屋根のちゃんとある家屋、トンネル等)の
意味が書かれています。
地図には1から8までに数字の記された円があり、
子どもたちは円の中心と思われる場所を見つけ、
そこにある遺物または遺跡の写真ととり、記録をしなけれななりません。
(班によって、1から8までの「物体」は異なります)

ヒントとして1から8までの物体がどんなものであるか
一応書かれています。
(例:アーチ、彫像、浮き彫り、壷、など。)
しかし、同じものが近くに複数見られる場合もあり、
円の中心に当たる場所にあるのがどれであるか、
しっかり見極めなければなりません。
「アーチ」を探すのではなく、円の中心を探すように指導すること!
すべて子どもたちにやらせ、
付き添う大人は班がまったく違う方向に向かっているときのみ、
口出ししてよし!
とトゥリオ先生に厳しく言われました。

はじめは一体どうやって地図を使っていいのか分からず、
入り口近くをうろうろ。
コンパスの使い方のおさらいをし、
地図と「照合」させるために、記号を確認しながら
よく回りを観察してみよう!とちょっと指導をします。

とことどころ、発掘調査で通れなくなっていた道や
柵で囲ってあるエリアもあり、
どうしよう、番号の場所まで行かれない!と大騒ぎ。
でもすぐ近くまで行かれなくても地図を頼りに
探している物体がしっかり見つかった場合もありました。
まるで宝探しのゲームのようでもあり、大人の私も熱中してしまいました。
3番まで行き着くと、地図の読み方もぐっと上手に!!
楕円形の形をしたもの、ある?
地図に書いてあるこの楕円形じゃない?
おおおい、北がどっちかしっかり確認しろよ。
あれ、こっちに行くと8角形のものがあるみたいだけど・・・
わああ、本当に8角形だ!もと噴水?
(Domus Flaviaの噴水でした)

4番の円の中心には軍人の彫刻。
頭はとれてしまっているし、大理石が風化していて
よく読み取れないとがっかりしている女の子に、
手には何を持っている?ブーツにライオンの頭の装飾が
ほどこしてあって結構かっこいいんじゃない?当時の流行かもよ、
彫刻の素材は?高さは?とノート取りのヒントを与えます。
おへその位置が高すぎてへんだよ。
いやあ、それは鎧に装飾的な
おへそくぼみがつけられていたからじゃない?
と一体の彫刻をめぐっていろいろな話題が展開します。

8番として記された柱の発見された
マクセンティウス帝の巨大なバジリカのヴォールトは
クラスが昨年訪れたパンテオンのクーポラと同じように、
天井の重みを軽くし、全体の構造にとってプラスとなり、
しかも装飾としても効果的なcassettone(格間)の技法が用いられていて
それが四角ではなく、八角形であることにみなで気づき、びっくり。

私の担当した班は1時間という限られた時間の中で
8つのうち6つしか見つけられませんでしたが、
ノートや写真がたくさんとれたのでみなとても満足していました。
多分イースターの明けた今週あたりから
発表に向けての作業が開始されていることでしょう。