ローマ・デッサン帳

ローマでの生活、見たことや感じたこと、絵本と美術関係の仕事について綴ります。

イタリア式日時計制作


大変ごぶさたしております!

いろいろとありましたなか、
まず一つ完成したのは息子の中学の屋上の日時計。
日没の時間が24時、0時に設定されている「イタリア式」の日時計です。

orologio solare
"ab occasu solis"

このタイプの垂直式日時計は12世紀頃から教会や市役所の壁にとりつけられ、
機械時計ができてからも使用されたものです。
(機械時計の時間調節に使われました。)
大理石に刻まれたものやフレスコ画として描かれたものなど、
スタイル、素材、装飾もさまざまです。

壁は完全に南向きではないので、時間を指す線の角度や長さは
専門家の指導のもとに子どもたちが先生と計算したようです。
計算したのち、すぐにそのまま壁に鉛筆で書いてしまったので
とりあえずは釘を打っておき、
日時計製作用の予算が集まるのをまって冬を越しました。

校舎が歴史的建造物であるため、いろいろと制約があり、
日時計の制作には外壁用ペンキと紙ヤスリのみを使用。
ごつごつした壁の漆喰を、線の描かれるところのみ平らにし、
あとは紙テープとステンシル。
イタリアの学校ではカッターを使ったりすることには慣れていないので
文字や数字のステンシルもこちらが作ることになりました。
(図工、工作、技術の実技の授業がほとんど皆無で
中学からの美術もどちらかというと美術史が中心。
普通は家庭科室、技術室、美術室、理科室もありません。
日本は基本的な設備で言えば、実に恵まれていると
いえましょう。すばらしいことです。
イタリアでは熱心な先生がいる場合は別です。
この学校の天文学教室もEUのコメニウス・プロジェクトに参加している先生が
いるからできあがったものです。)

日時計に必ずといっていいほど見られる時間に関する警句、モットーも
生徒たちから募集され、
今回の時計に選ばれたのはアレッサンドロさんの作品です。
(これからあと2種類の日時計を一緒に制作します。)

QUEL CHE SENTO
Il tempo e' molto lento
quando passa non lo sento e non me ne lamento
Anzi son contento

THE SOUND OF TIME
Time is slow
I do not hear it pass and that's all right
it rather pleases me

『時間の音』
時間はゆっくり進む
通り過ぎる音はぼくには聞こえない、でもそれでいい
むしろ安心

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紙テープばんざああい

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紙ヤスリをはじめて使ったよ!

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数字と文字にはステンシルにしやすいHelevticaを利用
ペンキの色は両側の窓のシャッターの色に似たものを

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屋上のスカイラインは聖ピエトロ寺院のクーポラを含みます
左側に注目!
夜は天体観測が月に二回ほど行われます

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おとなりのクロスト・レ(王なるキリスト)教会のクーポラが見えます
ファシズム時代の建築です
こちらの教会のオラトリオには近くの小学校もここの中学校もお世話になっています



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モットーと星座(蟹座、天秤座、山羊座、牡羊座)を加えてできあがり!

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