ローマ・デッサン帳

ローマでの生活、見たことや感じたこと、絵本と美術関係の仕事について綴ります。

今年のボローニャあれこれその2 よっちことのだよしこさん展覧会とワークショップ!

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ボローニャのブックフェア期間中には
街の中でさまざまな展覧会や個展が開かれます。

降矢さんたちの車がブラティスラヴァから到着するのを待っている間に
よっちさんことのだよしこさんの展覧会準備の作業を
のぞきにいきました。
よっちさんはボローニャ郊外のピアノーロ在住のイラストレータ。
とってもたのしい絵は心をほっかほかにしてくれます。

今回の展覧会はテキスタイルデザイナーのマヌエーラさんとの共作展!
会場は元ゲットーだった地区のマヌエーラさんのアトリエ。
http://www.confezioniparadiso.blogspot.it/

テーマはボローニャ名物の餃子のような「トルテッリーニの作り方」。
よっちさんが6枚の大判のふきんに絵を描き、マヌエーラさんがそれに刺しゅうをしました。

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マヌエーラさんの作ったフェルトのトルテッリーニによっちデザインのタグをつけます。
よっちさんの新作、『よっちのメニュー』もかざります。

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展示作業、とっても楽しそうです!
ちょっとのれんふうになりました。
イギリスの洗濯バサミを使って。

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降矢さんたちとBIBIANAのキュレータのマーティンさんたちの車が無事到着し、
石碑館への搬入が完了したのち、
よっちとマヌエーラの展覧会のオープニングに参加しました。

オープニングにはよっち特製サンドが。
それぞれはさんであるものがちがい、楽しかったです。

こちらがお二人の作品!
トルテッリーニの作り方が6枚のふきんに刺しゅうされています。

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遠近感を出すためにところどころトーンの違う色の糸が
主要な線に沿ってぬいつけられたりしていました。
うううん、刺しゅうも奥が深いのです。

ふたりの世界が一つに!
作ることの楽しさ、毎日の生活の小さなひとつひとつのことがらの
大切さ、あたたかみ、それに対して心のおどるさまが伝わってきます。


さてさて、

ことし、よっちさんははじめて子どもたちとのワークショップなるものに挑戦。

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壁に貼ってもらった白い紙に見入るよっちさん。
うううううん。

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ワークショップの会場は、ボローニャ丘陵地帯のCasa Arcobalena。
癌の治療を受けている子どもたちとその家族を収容する家です。
AGEOPというボランティア団体が購入することに成功した施設のうちの一つです。

ワークショップはお天気がよいので、家の中の共同スペースではなく、お庭で行われることになりました。
この日、参加できた子どもは6歳の女の子と男の子。
3歳の男の子。
14歳の男の子は検査の数値がよくなかったので参加できませんでした。

子どもたちとよっちが一つのお話を作ります。

一応インプットとして、5つ好きなものを考えてくること、と
子どもたちに伝えておきました。

白い紙に飛び込んで来たのは鳥さん。 

よっちさんがこのような「冒頭」をしめしたので
これに沿うことにしました。

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この鳥さんはどこへ行くのでしょう?
木の上!
木の下には何かある?
池!
池の中には?
魚!
男の子がね、池に飛び込むの。
そして魚をとってね、それを料理して食べる。
魚を食べたら水をあやつるヒーローに変身。
(その魚は実は魔法の魚だったらしいぞ!)
よっち、マント忘れてるよ。ヒーローにはマントがつきものだよ。
そしてねそしてね、火をあやつるヒーローと、空気をあやつるヒーローという
仲間がいるんだよ、彼には。

とくにイグリーというアルバニア人の男の子が超エスカレート!
この作品は傑作になるよ!と仲間とよっちをはげます。
また、ぼくはさあ、戦いのアニメ見過ぎだよなあ、とある時点で自己批判しはじめ、
その言い方がおかしくって、大人たちはおなかをかかえてげらげらと笑ってしまいました。


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空気をあやつるヒーローちゃんが悪者たちに「わるもの」cattivoの頭文字Cのついた
わるものわくせいにつれさられてしまいます。
「おりの中に入れられて」も子どもたちのアイディアです。

水のヒーローにはちゃんと助っ人がいました。
それはなんといたずら好きのハエの大群!
ハエはしかし、重要な役割をはたしました。
わるものたちのハエたたきは効きませんでした。


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最後の場面です。
みんながハエとともに、わるものわくせいを分解しているところです。

最後におはなしのタイトルを書き入れます。

一羽の鳥さんからはじまったおはなしは

『スーパー・チルドレン、水くん、火ちゃん、空気ちゃんといたずら好きのハエさんたち』
ーエデラ、ドミトリ、イグリによるおはなしー
絵:よっち

となりましたのです。

参加した子どもたちはおおらかで活発でした。
女の子のエデラちゃんはどちらかというと、ずっと考え中モードで、
ボランティアの女の子に手伝ってもらいながら発言をしました。
3人ともよっちさんの魔法のような、ユーモアにあふれたドローイングに魅了され、
自分たちのおはなしがどんどん形になっていくのがたのしくてたのしくて
しょうがないという感じでした。
こんなにたのしく熱中した子どもたちの姿を見るのは本当にひさしぶりで
まぶしかったです。
よっちも子どもたちのおかげで、別の自分が発見されたかな?

よっち、こどもたち、みんな、ありがとう。
このいっしゅんに立ち会うことができたことに感謝いたします。

そして子どもたちが一日でも早くよくなることを心からお祈りします。