ローマ・デッサン帳

ローマでの生活、見たことや感じたこと、絵本と美術関係の仕事について綴ります。

テヴェレ川あれこれ

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4月21日、ローマ市の創立(紀元前753年)記念日の日に
再びローマの詩人たちによる、テヴェレ川とローマをテーマにした詩の
新作発表朗読会がテヴェレ川川岸にて行われました。

昨年、ティベリーナ島正面の、トラステヴェレ側の
遊覧船発着場前の壁に取り付けられた
有島生馬の『蝙蝠の如く』からの引用の文章も
パネルの他の詩とともに朗読されました。
主人公がテヴェレを渡る瞬間に
一人の男、一個の人間としての自分に
覚醒する瞬間を描いた場面です。

上の写真には中州のティベリーナ島をパックにした遊覧船上で撮影したもの。
詩人たちとともに、天使城に向かいました。

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テヴェレ川から臨む天使城。


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テヴェレ川から臨むシスト橋。

古代ローマ時代には
市内27カ所にに設置されていたアルゲイという祠のようなものに置かれた
27体の藁人形を川に流す儀礼(アルゲイ祭)が
3月と5月に展開されたということです。
その儀礼が何を象徴しているかははっきりしていないようです。
テヴェレの神に昔、27人の老人が生け贄として捧げられていた名残なのか、
またはかつての水葬の儀礼の名残なのか。
オヴィティウスの時代にも議論があったようです。




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ボートクラブのボートハウスがたくさん並んでいます。


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あれ、床屋さん?
川を見ながらの散髪。
なかなか風情がありますね。
10歳ぐらいの男の子でしょうか。
ライフジャケットとかつけなくてもいいんでしょうか。


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新しく取り付けられた、ジュゼッペ・ジョアッキーノ・ベッリ(1791-1863)の
テヴェレ川をテーマとした詩のパネル。
天使城がパネルに映っています。
ローマ方言で書かれた14行詩、ソネットです。
テヴェレ川で溺死したコッコ・スフェッラに捧げられたものです。

息子の中学はまさにこの詩人ベッリを記念している学校です。
校内では詩のコンクールが毎年開催されます。

テヴェレ川の高い土手ができる前まで
テヴェレ川はたくさんの人々の生活の場でした。
漁師や木材を運搬する労働者、そして粉挽き屋。
ティベリーナ島の近くには20もの水車小屋があったそうです。

島にある聖バルトロメーオ教会には
粉挽き屋の信徒会のチャペルがあります。
チャペル内には水車小屋の璧画や大理石に刻まれた絵などがありました。

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高すぎてみにくいのですが、照明器具用の棒が壁に交差している
上あたりに、白黒のキアロスクーロで水車の璧画が見られます。


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テヴェレ川の話題からはそれてしまいますが、
この教会のストゥッコ装飾の静かな美しさにも心打たれました。
また、カトリック教の20世紀に入ってからの殉教者たちの
名残の品が、アフリカ、オセアニア、中近東など、
地域別に各チャペルに展示されています。
これは2000年のジュビレオ年に際し、
ヨハネ・パオロ教皇が企画したものだということです。

みなさんもぜひ訪れてみてください。