ローマ・デッサン帳

ローマでの生活、見たことや感じたこと、絵本と美術関係の仕事について綴ります。

ローマの高校、占拠運動


*上記へ行くと、マミーニ高校占拠60年代の写真、現在の写真、
校長先生の写真などを見ることができます。(右側の矢印をクリック)

ローマの高校の学校占拠運動は有名ですが、
今年は明確な宣言がまとまらないので占拠は難しいだろうと言われていたにもかかわらず、
今週の火曜日に、息子の高校をはじめとする10の高校が
学生たちにより、占拠されました。
午前中の11時15分の休憩時間にいきなりメガホンで占拠宣言があり、
生徒たち、教師たちは荷物をとりにいく以外は
教室を退去せざるを得ませんでした。
マミアーニ高校の校長は3年前に就任してから
占拠という違法行為ではなく、自主管理という方法での
プロテストを勧めており、
後者を受け入れさせることに成功していたのですが、
今年はそれが無理でした。
この校長は例えばつい先週、学校の書類に「父」「母」という
ジェンダーに結ぶついた名称を用いずに
「親その1」「親その2」という名称に変えたりするなど、
革新的な考えを持った校長として注目されているのですが、
生徒会長を説得させることはできなかったようです。
占拠の方法、占拠を実施するのかしいないかなどの正確な情報は
1年生には伝わっていなかったようで、
火曜日午前中、息子もずいぶんびっくりした様子で電話してきました。

学校占拠中にはいろいろな分野で活躍している父母や
外部の人たちが招かれてコンファレンスや講座が展開されるのですが、
昨夜、PTAのほうから「占拠」という違法行為に賛成することになるので
招かれた親は参加を控えるように、というメールが来ました。
メールには生徒たちの占拠宣言も添付されていました。
現政府はイタリアの未来を大切にするのであれば
ヨーロッパの基準にも達していない時代錯誤的な
イタリアの学校の現状改良に力を入れるべきだ、と言った内容のもので、
確かに具体的な提案に一切欠けていました。
歴史的中心街の有名校、タッソーは
明確な宣言に至らなかったと判断し、
回の占拠運動不参加を表明しました。

息子は10時半頃、どんな状況か見ていくる、と言いながら
家を出て行きました。
ラスタヘアが特徴の生徒会長は
基本的に校長とはとてもいい関係にあるのだそうです。
昨日も二人は肩を抱き合っていたそうです。
なのでとても平和的な占拠ではあるのですが、
いつまた警察が呼ばれるか分かりません。
その場合にはすみやかに退去するように、ということは
生徒たちの間に伝わっているということですが、
親としてはかなり不安です。