ローマ・デッサン帳

ローマでの生活、見たことや感じたこと、絵本と美術関係の仕事について綴ります。

マゼールとフランク、レスピーギ


昨夜、ローマのAuditoriumにて、ロリン・マゼールの指揮する
サンタ・チェチリア音楽院管弦楽団のコンサートがあり、
なかなかおもしろかった。
プログラムはフランクの交響曲二短調で始まり、
第2部はレスピーギの交響詩、「ローマの噴水」と「ローマの松」。
クラウディオ・アッバードが亡くなったばかりであり、
カラヤンの後、ベルリン管弦楽団の音楽監督の座を
アッバードに奪われて挫折したという話しは有名なので、
彼としてはある意味でとてもやりにくかったのではないかと思う。
それにもかかわらず、フランクの発表当時の問題作、
交響曲二短調を実に美しく仕上げ、
観客ばかりではなく、オーケストラ奏者も
足を踏み鳴らし、譜面台を弓らで叩くことにより、
その満足ぶりを表示した。
「ローマの噴水」、「ローマの松」はローマの壮大さや
風景を音楽で描きだした実にドラマチックな作品。
マーゼルの細部にわたって計算された、
繊細でしかも力強い指揮により、
奏者たちもそのヴィジュアルな美しさに
一緒に酔いしれていた。


「ローマの松」を初めて聴いたのは東京芸大の芸祭のコンサートにて。
このときにはあまり思わなかったのだが
今回聴いてみて『ベン・ハー』の映画音楽と重なった。
レスピーギやプロコフィエフ、ホルストなどは
映画音楽の作曲家たちにかなり影響を与えていたようである。
「ローマの松」の最後の部分はまさに
古代ローマの軍隊が古い街道を行進する光景を想起させ、
普段は無感動を装う息子とその友人も
興奮していろいろとコメントをしていた。