ローマ・デッサン帳

ローマでの生活、見たことや感じたこと、絵本と美術関係の仕事について綴ります。

ローマ便り 11月17日

ローマでは10月に入ると様々なフェスティバルが開催される。
城壁外の聖パオロという大きなバジリカ近辺の住宅街、
ガルバテッラでは先週までARCIPELAGOという、
短編映画を専門とした映画祭が行われていた。
こちらには息子が生まれた年に、
ウェッブキャムで撮影した短編映画を応募して入選したことがある。
『テニスの神様』という題で、
テニスの練習中にとても不思議なことが起こるというストーリーだった。

ガルバテッラは1920年代より建設された、
イギリスのガーデンシティーに想を得た、労働者のための住宅地だ。
いくつかの住宅が一つの共同体を成し、
中央には共同で耕せる畑、庭、洗濯場、子どもの遊び場などがあった。
スタイルはネオ・ゴシック、ネオ・パロック。
一つ一つの家、アパートのデザインが違い、いろいろな形を楽しむことができる。
現在でも共同体としての意識は強く、
一つの村の中を歩いているようでもある。

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こちらは民放ドラマ、『チェザローニ』のロケで使われるバール。
とっても有名で、そこにすわっている間にはドラマのファンが
3分おきぐらいに前を通っては記念撮影をしていた。
灰色のかわいいオウムの名前はネローネくん。
Piazza Giovanni da Triora


今週から息子はCODER DOJOのプロセシングのワークショップに参加することになった。
8回にわたる講座なのだが、
いろいろな習い事で11月、12月は1週間まるごと放課後がうまってしまった。
月曜は英語、火曜は楽理、水曜は英語と韓国武道、木曜はピアノ、金曜は韓国武道、
土曜はプロセシング、日曜は一週間おきにロックバンドの練習。
高校が月曜から土曜日まで、8時から1時までが授業なのでできることだ。
(学校でのクラブ活動は全くなく、あったとしてもそれは有料のコース。)

ローマのコーダー道場はテルミニ駅の建物の中にある
私立大学LUISSの主催するスタートアップ用ラボで開催される。
LUISSはイタリア産業連盟と提携している大学だ。
まるで秘密基地にように、このラボはちょっと隠れた場所にある。
入り口は駅の地下の薄暗い場所にあるバールの前、
公共トイレのとなりのガラス戸。
玄関は二重になっていて、警戒は厳重だ。
ちょっと怖い感じもするのだが、中に入ると、そこは別世界。
エレヴェーターで3階に上がり、
不思議な中庭の反対側にとっても広い空間が延々と続く。
そこにはいろいろな小さなスタートアップ企業が活動をしており、
子ども向けの様々な、コンピュータ関係のワークショップが開催されている。

映画監督マリオ・モニチェッリの奥さんであった
絵本作家、児童文学作家のキアーラ・ラッパチーニも言っていたのだが、
若いイタリア人で才能のある人はイタリアを捨ててどんどん外国に
行ってしまうのだが、
この地、イタリアを戦いの場として選ぶべきではないだろうか。

様々な障害を乗り越えてCoder Dojoの講座をイタリアで
頑張って開講した友人に感謝したいと思う。

何かを始めるのは難しいが、お金がなくても始められることもある。
確かにその通りなのだが、
現実にはなかなか難しい問題がたくさんたちはだかっていて
どうにもこうにも進んでいくことができない場合の方が多い。
私自身もせっかくこの国を選んだのだから、
くじけないでこの国でちゃんとやっていきたいと、心を新たにして
立ち向かいたいなと思った週末だった。

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テルミニ駅の側面の回廊。
こんなふうになっていたんですね!!

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こちらはEN-LABの入り口。イタリアの未来と希望がこの中に。