ローマ・デッサン帳

ローマでの生活、見たことや感じたこと、絵本と美術関係の仕事について綴ります。

滝のある街、ネーピ


ローマのレストランで
マイルドなガス入りのミネラルウォーター、
acqua di Nepiを選べるところだと、
ここはいいレストランなのではないかという
期待が膨らむ。
しかも、ガラスのボトルの場合であればなおさらだ

このおいしい、さらさらとした軽いガス入りの水は
ローマ北西、ヴィテルボ県の小さな街、ネーピの街のすぐ近くの泉から出る。
ネーピという名前は、エトリルア語で水、という意味の言葉が語源。
なので、古くから名水の出る場所として知られていたということだ。
このあたりは深い渓谷が森林を刻み込んで行き、
古い街が渓谷に挟まれた丘のてっぺんに建設されている。

ネーピの街の南にあるローマ門に近寄って行くと、
水の轟が聞こえてくる。
門をくぐり、右側に見える渓谷に沿って城壁の方へ振り向いてみると、
なんと、大きな滝が!
そう、ネーピは滝のある街だったのだ!!!
ネーピの街は二つの川に挟まれた丘の上にあり、
南側は崖になっている。



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渓谷はグランドキャニオンのように両側が崖になっているので
珍しい動植物が今でも生息しているとのこと。
反対側の谷間には遊歩道のようなものがあったが、
あまりメンテがされていないため
雑草が生い茂り、蚊の大群に襲われて
途中までした歩けなかった。
下の写真は門を入ってすぐに見える街の南側の様子。
ボルジア家の法王、アレッサンドロ6世時代に立てられた
お城の塔が見えている。
法王は娘のルクレツィアのこの街を贈り、
彼女はこの街をよく治め、住民に尊敬されていたということだ。

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ネーピの街の中心にある市役所宮殿の噴水。
1727年作。
ヘビの巻きついた塔は街のシンボル。

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街の奥の方に行くと、少し廃れた感じがする。
ネーピは鉄道の駅もなく、ローマからアクセスが悪いので
鉄道の通っているブラッチャーノ湖湖畔の街と違って
ローマのベッドタウンとして発展することがなかった。
(近年、ローマ市内の不動産価格上昇により、
郊外に住む若い家族が多くなった。)
上の写真は聖ロッコを祀る小さいなチャペル。
路のモザイクには、巡礼者聖ロッコの属性(アトリビュート)である
荷物をくくりつけた棒の図案がはめこまれている。



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こちらはボルジア家の建てたお城。
コンサート会場となっていて
夏場はバロック音楽のフェスティバルがここで開催されている。
このフェスティヴァルは町おこし政策の一環。
フラミニア街道方面の近くの小さな街には
渓谷の中に建てられた美しいロマネスクの教会
(聖エリア)もあり、
近郊にはエトルリアや古代ローマ時代の遺跡が豊富で、
食べ物もおいしく、
歴史的にも文化的にも
もっともっと見なおされるべき街である。