ローマ・デッサン帳

ローマでの生活、見たことや感じたこと、絵本と美術関係の仕事について綴ります。

2007年6月5日 贋作

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工房で「贋作」をテーマにした展示がはじまった。
明日から2日間にわたって、偽物かどうか見分けるための
分析方法などに関するコンファレンスが行われる。
私に与えられた課題は「ヨーロッパ美術における『偽物』の歴史」
というテーマで小論文を書くというものだ。
書くだけでいいんだろうと思っていたら、コンファレンスに参加して
発表をするようにと言われてしまった。
(人前で話すのは何語を使っても下手くそだ。aiuto!!!)
自分の専門ではないので、贋作の歴史について勉強をした結果
修復をする自分にとってどのへんのことが役に立ったのかを説明しようと思う。
おかげさまで「贋作」作りは修復そのものの歴史と
直結しているということを認識できるようになった。
「贋作」を制作し、売ることが犯罪だとみなされるようになったのも
20世紀に入ってからである。
贋作についていろいろ読んでいたせいで
美術館に行くと陳列している作品が
みんな偽物のように感じられて本当に困る。
クルツによると、美術館の展示作品の40%は偽物である可能性があり、
研究が進むにつれ、とくにルネッサンス期のセクションと
ギリシャ・ローマ時代のセクションを
行き来する作品はたくさんあるとのことだ。
この間デューラー展を見たが、とくにアメリカから借りた作品の中には
危ないものがあるかも!と思ってしまったりした。
はやく今までのように、落ち着いて展覧会を見られるようになりたい・・・

** 写真は最近の「ベッタ」さん。化粧板修理中。