ローマ・デッサン帳

ローマでの生活、見たことや感じたこと、絵本と美術関係の仕事について綴ります。

19世紀可動式アームチェアの修復 A Reclining Armchair from the 19th Century

イメージ 1
やっと修復が終わりました、総クルミ材の立派なリクライニング・アームチェア!!
19世紀後半、北イタリア産、スタイルはバロックを彷彿とさせるルイージ・フィリッポ式。
椅子を倒すしかけは鉄と木でできています。
もちろん修復中は全部分解しました。
幸い、どこにいくか分からない部品は残りませんでした、よかった!
写真でドキュメントしておいても、なかなかもとのように
組み立てられない場合がけっこうあります。
イメージ 2
とくにスライド式の脚置き部分の破損が進んでいたのですが、
リクライニングの調節をする時にアームをうごかすので、
アームの装飾部分にも破損が及んでいました。
イメージ 3
装飾部分の修復。
仕上げはラッカーと蜜蝋。
新しい木にあの古い、使いこなされた木の持つ
皮を触るときのような独特な柔らかさを再現するのは無理なのですが、
木はサンドペーパーでなでるように仕上げをします。
修復は見えるような状態にしておくこともありますが、
この場合は半々といったところでしょうか。

イメージ 4
脚置きを引き出した状態。
イメージ 5
気持ち良さそうです。
今、このアームチェアは椅子のクッションなどの修復を専門とする
tappezziereのフェルナンドさんの工房にあります。
どんな布地がいいだろうか。
縞模様?ダマスク織り風?皮?無地だとしたら何色に?
これからフェルナンドさんといっしょに選びますが、
みなさんはどんなのを想像しますか。
不景気故、アンティックはなかなか売れないのですが、
このアームチェアの場合はどうなのでしょう。
これからがまた大変です。