ローマ・デッサン帳

ローマでの生活、見たことや感じたこと、絵本と美術関係の仕事について綴ります。

ボローニャ国際絵本原画展 取材雑記 その2


*その1からの続きです

ポーランドのマチエイ・ピリニヤクさんは、
「二人の姉妹」というかわいい名前の出版社の編集者です。
彼はそれぞれの作品を本当に丁寧に見ていて、
メモをたくさんとっていました。
彼の出版社はポーランドで絵本コンクールもやっているので
絵本というものが社会や生活の中で
どういう役割を持っているのかについて、
とても明確な考えを持っています。
絵本は何よりも、子どもといっしょに
時間を過ごすための大切な手段であると
語っていました。
絵本は、携帯やコンピューターと違ってクリックしても
スワイプしても音は出ません。
(もちろんそういうものもあいますが)
大人が手にとって読んであげなければ特に語りの部分は
機能しないのです。
絵本を読んであげられる大人である私たちは
まさに絵本の主役となることができるのです。
この「不思議」のおかげで、絵本は地球上から消えることは
ないだろうということです。
Dwie Siostry publishing で主催している隔年の絵本プロジェクト
コンクール、クレアヴォイアンのページです


とにかく素晴らしい5人でした。
5人ともとてもお互いに対して優しく、
一生懸命に話を聞いていました。
展覧会には5人全員の個性的な意見が
すべて反映されています。
主催者側はこれでは審査は3日で終わらないのではと
ハラハラしましたが、
とても優秀なプロフェッショナルである彼らは
最後のほうでものすごい勢いですべてをまとめあげました。

そして入選者の皆様。
今年のインタビューには日本で勉強した海外の入選者にも
参加していただきました。
それぞれがとても面白い世界を持ち、
絵本に対し、特別な思いを持って制作している姿が
描き出せたのではないかと思います。


入選者、絵本作家東郷なりささんの入選作品
「きょうはたびびより」福音館月間絵本
イメージ 1

イメージ 2


背景にはリノリウム、鳥たちはすべて
消しゴミはんこが押されて制作されています


イメージ 3

『はかれないものをはかる』の工藤あゆみさんの作品
審査中の写真です
子育てを一生懸命している自分に
かけてほしい言葉たちがテーマです
審査員講評で、ハリエットさん、アレッサンドロさんの
二人の審査員に選ばれた作品です

イメージ 4

講評会の後の入選者受賞式で
お嬢さんと賞状を受け取る
あゆみさんの姿です