ローマ・デッサン帳

ローマでの生活、見たことや感じたこと、絵本と美術関係の仕事について綴ります。

2008年 4月19日 トリノ覚え書き

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   *写真はマダーマ宮殿内の吹きガラスの窓。

ピエモンテ州は本当に「木の文化」」が感じられる地方だ。
トリノの中心街の建物の扉にはすべてオーナメントが彫られている。
王宮美術館にも18世紀以降の見事な家具が展示してあり、
マダーマ宮の美術館にもすばらしい木工作品が見られる。
アンティックのお店も何軒かのぞいてみたが、
しっかりした作りのいい家具がありそうだった。

王宮のガイドはまるで宮殿の儀礼担当官のような厳かな口調で
われわれを宮殿内の様々な広間に導いてくれた。
まるで王様の賓客になったような気分になり、
こちらの背筋もぴんと伸び、
ツアーが終わると、ヴィジターであるわれわれも
貴婦人然としておじきをしながら礼を述べ、
ユヴァーラのデザインした白い階段を優雅な足取りで降りて行った。

宮殿のツアーで一つ勉強したのは「ヴェネツィア式蝶番」。
床に敷き詰められた豪奢な絨毯が扉の開閉で痛まないように
特別にデザインされたものだ。
扉を開きっぱなしにしておくと、
扉が床に直接当たらないで斜め上に行くようになっている。
教会の扉にもそれが利用されている。

マダーマ宮の美術館でみた中世の聖遺骸入れ。
これを見た瞬間に友人のために修復した
用途も生産地も不明な箱のイメージがフラッシュ。
これだ、と思った。
友人の箱は恐らく15世紀に遡るもの。
木でできた釘、とっても古くなった堅い木のかもしだす触感、
中蓋にほのかに残っている十字架の絵、それから
(エトルリアの石棺のような)屋根型の蓋・・・
これらを全部足すとやっぱり友人の箱も
どうしても聖遺骸入れではないかと思われるのである。
箱の後ろの部分に壁にとめておくための金具もついていた。
盗難を防ぐためなのだろう。
美術館から思わずラウラに電話をしてしまった。
彼女もびっくり!