ローマ・デッサン帳

ローマでの生活、見たことや感じたこと、絵本と美術関係の仕事について綴ります。

サンタ・チェチリア交響楽団打楽器特別コンサート I percussionisti di Santa Cecilia

本日はとてもよいファミリーコンサートを聴いた。
ローマのサンタ・チェチリア音楽院のオーケストラの打楽器奏者が主役の
特別コンサート。
年初めのファミリーコンサートは毎年、オケのあるパーツを取り上げた
コンサートが行われ、2011年は打楽器の番。
プログラムは以下の通り:

Philidor Marche du Timbale
「ティンパニのマーチ」
ヨーロッパで初めて、打楽器のために書かれた曲。
フィリドール(1657-1798)はルイ14世期に活躍したフランスの作曲家。
奏者は向かい合う二人。
燕尾服に18世紀風のかつらをかぶっての演奏!!

Chavez Toccata for Percussion Instruments
「打楽器の為のトッカータ」
メキシコの作曲家、カルロス・チャベスの1942年の作品。
3楽章からなる作品。奏者は6人。
グロッケンシュピールや木琴も含む、メロディカルな中間部。
普通は指揮が入るのだが、今回の演奏は指揮なし、6人の息が合って
すばらしかった。

Peck LiftーOff!
「リフト・オフ!(発射!)」
オーケストラからは普段なんだか遠ざけられている、牛皮を張った
大太鼓グランカッサ3台によるダイナミックな作品。
(なんとも、音が響くのが遅いので周りに合わせにくく、
オーケストラ曲には向いてないようだ)
リズムに合わせた照明の指示あり。暗闇の中での演奏。
でも日本の鼓童などの演奏に慣れている私たちにとっては
作品的にはあまり耳に新しくなかったかな、と。
演奏はしかし、すばらしかった。
ペックは2009年に亡くなっている。

Sollima Millennium Bug
「ミレニアム・バグ」
大好きなイタリアの作曲家兼チェロ奏者のジョヴァンニ・ソッリマの作品。
1999年に、2000年ともにやってくるはずのクラッシュをイメージした作品。
このコンサート、公共放送第3チャンネルで実況放送されたのですが、
そのおかげでテレビカメラが2台入り、
大きなスクリーンにも上映されたので演奏の様子を間近で観る事ができた。
4人の奏者による5楽章。
ヴィブラフォノをコントラバスの弓で「弾く」部分がきれいだった。
4人でマリンバを弾く部分も観ていて実に楽しい!
最後の方はマリンバにマジックボールを当てる箇所もあり。
やっぱりソッリマはいい作家だ。

以下のYOUTube映像はフィレンツェの五月祭オーケストラの打楽器グループの演奏。
でも公共放送で今日のコンサートが放送されたので、そのうち、
今日の演奏も掲載されるだろう。
比べてみるとおもしろいかも。

Reactable improvisation*
バルセロナの研究者たちによって発明されたタッチスクリーンによる電子楽器、
REACTABLEと打楽器の即興。
画面に置かれて行くキューブにはバーコードがついていて、
それが音をジェネレート。
ちょっと魔法みたい。
イタリアにはトリノに一台この楽器があるそうなのだが、
今回の奏者も所蔵先のSubMixPro Studioから来ていた。
下記の、YOUTubeから釣り出して来た映像もトリノの演奏家たちによるもの。

なかなかのラインアップの、子どもたちにも絶対におもしろいかっこいいコンサート!

本日は三博士がイエス・キリストを訪れた日だ。
また、教会の意図に反してしっかり温存されたベファーナのお祭り。
怖い魔女が悪い子には木炭(の形をした黒い砂糖菓子)を、
良い子にはお菓子を持って来てくれる日だ。
わたしたちには、なんと、自分たちのすわっていた席の前の席に
サンタ・チェチリアの首席指揮者パッパーノさんがどかっとすわるという
大きなプレゼントを持ってきてくれた。
わああ、ご本人。
みーんな知らーんぷりをしていたのがおかしかった。